agreeable 第59号(令和3年7月号)
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の現場除士防業務において今や欠かせない資格となりましたが防除士としての仕事はなにも調査や施工に限ったことだけではありません。様々な薬剤試験、耐蟻性試験等独自の試験を自社で行うと共にこれらのデータを世に発信することで知識の構築を図るといったことも大切な仕事の一つと感じています。したいと思います。きっかけとなったのは2020年3月頃に雑誌記者の方から頂いたある依頼からでした。それは、ヒノキに代表されるシロアリ被害に遭わないと言われている木材は本当に食べられないのかというもの。食害環境を再現することでその真実に迫ることに。防除士、それはシロアリ点検・施工今回は、そんな発信の一例をご紹介そこで様々な樹種を用意して実際に一般的に樹木はシロアリなどの害虫から身を守るため自ら特有の忌避成分を身に纏っています。それはフィトンチッドとも呼ばれ、木の持つ独特の香り成分がその正体になります。通常、これら香り成分はテルペン類という成分が幾つも混ざり合ってできておりその組み合わせによって樹種の香りや忌避効果の違いを生み出しているということになります。試験に使用したシロアリはイエシロ        ットした円柱容器内にシロアリを放アリではなくより身近な種ということでヤマトシロアリを使用しました。そしてヒノキ、ヒバ、スギ、マツと4種の樹種を選択しマツ材は食害に遭いやすい樹種の代表として選定。各材をセち、時間の経過と共に食害がどの程度発生するのかを検証した形になります。期間は一か月と短めでしたがシロアリはしっかりとその結果を残してくれました。結果を見てみることにしましょう。まずはヒノキ材ですが、ヒノキ材には防虫効果のあるヒノキチオール(テルペン類)自体は少ないですが、一方でヒノキオールという成分を多く含みこれらが防蟻効果を出しているということになります。しかし、今回の食害試験において、ヒノキをシロアリは嫌うことはありませんでした。実際には堂々と蟻道を作り、木材の上を平気で歩き回る行動が頻繁に見られ、忌避効果すら与えていないことが結果から見えております。さらにたった一か月という短期間でありながらも普通に食害を始めたことからもシロアリにとって株式会社テオリアハウスクリニック  田中 勇史20agreeable No.59 July 2021/7

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