agreeable 第59号(令和3年7月号)
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シロアリを数えて、重さを量る3agreeable No.59 July 2021/7なか思うように落ちてくれません。自然と力が入りガンガン叩きまくるのですが、これもうまくいきません。シロアリが落ちてこないばかりか、土や木片などがぼろぼろと落ちてきてバットがゴミだらけになってしまいます。それもそのはず、シロアリがいるところはたいてい細い通路や空間が積み重なったような構造になっているので、無理矢理たたき落とそうとしてガンガン叩いたりするとシロアリが詰まってしまうのです。そういうことであれば、木材や巣をやさしく割りつつ、その表面にいるシロアリをバットに取り出すのが良さそうです。やさしく割ると確かに割った表面にシロアリが現れてきました。筆やブラシを使ってシュッシュッとバットに落とそうとしたのですが、毛にシロアリがしがみついてしまったり、毛で押しつぶされてしまったりしてなかなかうまくいきません。試行錯誤の結果、バットの上で割った面を下にして持ち、もう一方の手で前腕をとんとんと叩くことで、木片や土などをあまり落とすことなく、表面にいるシロアリをやさしく落とせるようになりました。バットから1頭ずつ摘まみあげて数を数えながら重さを量るのは、あまりにも大変です。効率的にやるには、まずシロアリを全部まとめて重さを量り、次にある程度の数のシロアリを数えながら取り分けて重さを量って1頭あたりの重さの平均値を計算し、この平均値で全体の重さを割るというのがよさそうです。そうすれば、完全に正確とは言えないまでも、数と重さの両方がわかるはずです。ただし、シロアリ全部の重さを量るには木片や土などのゴミを丁寧に取り除かなければなりません。特に石や土は重いので、十分に取り除けていないと過大評価になってしまいます。ゴミを取り除いてシロアリだ    が動き回らないようにすればもけにするには、バットからゴミを取り除くか、シロアリだけを新しいバットへ移すかのどちらかですが、シロアリがゴミにしがみついたりしているので、ゴミを取り除くよりもシロアリを新しいバットへ移す方が案外楽です。木材や巣からバットに取り出されたシロアリは何かにしがみつこうとするので、キッチンペーパーを上からふわっと被せてしばらく待っていればシロアリを簡単に釣ることができ、割と簡単に新しいバットに移すことができます。それでもくっついてこないのもいますので、これはピンセットを使って1頭ずつ移していきます。シロアリっと簡単にできそうな気もしますが、冷凍庫にしばらく入れて仮死状態にしたりすると、今後はシロアリが動かないためにゴミとの区別が難しくなってしまいます。ひとことでピンセットと言ってもいろいろと種類があり、先が平になってグリップ力が強いものや、力の加減をしなくてもやさしく摘まめるもの(逆作用ピンセット)など試してきましたが、先細りストレートタイプで、先がしっかり尖っていてぴったりと挟めるものが扱いやすいです。ピンセットで摘まむ時はついついお腹を摘まみたくなりますが、ちょっとでも力が入るとお腹が潰れてしまいます。頭は硬いので潰れないのですが、小さくて狙いを付けにくいという問題があります。そこで行き着いたのが、足です。金魚すくいのポイで金魚をすくうように、ピンセットを水平にしてバットの底に這わせるようにしてシロアリの足(の付近)を挟むとそのままシロアリを摘まみ上げられます(写真2)。この程度であれば足が取れてしまうこともなく、たとえ取れたとしても1本くらいなら影響はほとんどありません。あと、シロアリを移す新しいバットには軽く湿らせたキッチンペーパーを敷いておくとよいです。プラスチックバットはシロアリにとって滑りやすいため、そのままにしておくとどんどん衰弱していきます。シロアリを新しいバットに移し終わったら、全体の重さを量ります。次に、100頭を取り出して、1頭あたりの重さの平均値を調べます。この時、私だけでしょうか、ついつい見栄えの良い立派な個体ばかりを集めてしまいがちになりますが、そうしてしまうと、シロアリ全体の数が過小評価になってしまいます。実際には、もっと小さい個体や、幼虫なども含まれるからです。そこで、取り出す前にシロアリをよく混ぜ、およそ100程度をドサッと別のバットに取り分けて重さを量り、取り分けた数を数えると精度の良い1頭あたりの重さの平均値が得られるわけです。こうしてようやく、シロアリはいったいどのくらいいるのか、わかるのです。次回は、「シロアリの巣の中はどうなっているのか」研究したいと思います。写真2

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