胞子の確認5agreeable No.59 July 2021/7皮膜が被さっている場合は、その皮膜をそっと取り除いてみてください。すると傘の裏側では、柄の周囲から傘の周辺に向かって伸びているはずです(写真3)。このヒダが子実体にとっては重要です。なぜなら子実体はヒダの表面(写真4)で胞子を生産しているからです。では、マイタケ(写真5)はどうでしょうか。こちらはヒダが見えません。でも安心してください。マイタケの場合は表面に多数の孔(管孔といいます)があいていて、この孔の表面のいたるところで(写真6)胞子を生産しているのです。この胞子の生産のアカデミックな話については、堀澤栄先生が菌類の話第6回(アグリーアブル34号)に書かれていますので、時間のあるときに再度ご確認いただければと思います。また、エノキタケの傘の裏側はどうでしょうか。写真7から明らかなようにシイタケと同じようにヒダがあるのが分かります。エノキタケの場合も傘は小さいものの、その中ではシイタケと同じような仕組みで胞子を生産しているのです。では、子実体のヒダなどで胞子が生産されていることはどのようにすれば確認できるでしょうか。さっそくチャレンジしてみましょう。用意するものは黒い紙か黒いビニール(子実体によっては白い紙かビニール)、これを机に置きます。次に、適当な大きさのシイタケをその上に載せましょう。その際、シイタケは柄の部分を切っておいた方が良いでしょう。次に子実体の上に軽く湿らせたティッシュペーパーを載せてください。これで準備は終了です。あとは子実体が乾かないよう全体をコップやガラス容器などで覆いしばらく放置してください。適当な時間(数時間〜数日)経った後ボールをとり除き、子実体を優しく掴んでそっと真上に持ち上げてみましょう。子実体の下にヒダの跡が浮かびあがっているはずです。と、ここまで書いて手元の黒い紙を改めて確認したところ、ヒダの跡が浮かび上がっていないことに気が付きました。残念ですがヒダの写真については次回の自由研究に譲ります。写真2 シイタケの裏側まだ薄い皮膜があるため内部が見えない状態写真4 シイタケのヒダシイタケを外周付近で切断し横から撮影写真6 マイタケの裏面ヒダの代わりに無数の管孔が確認できます写真3 皮膜を取り除いたシイタケの裏面柄から傘の外周へと向かうヒダが確認できます写真5 マイタケ子実体上から見たマイタケ子実体写真7 エノキタケの裏面小さいながらヒダが確認できます
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