ネクサスZ(ゼータ)800の安全性につい7agreeable No.59 July 2021/7 て 結果、ネクサスZ(ゼータ)800は2次伝播においても80%以上が異常もしくは死亡するという高い伝播効果を示した結果が得られました。(表3)ネクサスZ(ゼータ)800の原体・製剤の化学物性から想定される安全性についても、既存剤と比較して非常に優秀です。まず、ジクロロメゾチアズは水溶解度が0・07㎎/Lと極めて低く、さらに土壌に強く吸着されやすいことから土壌中の縦、横方向への移動が非常に少ないと考えられ環境影響(地下水等の汚染リスク)が低い薬剤といえます。さらに、原体・製剤共に毒物劇物取締法に該当しない普通物で、無毒性量が110㎎/kg/日であることから他剤と比較して非常に人への安全性が高いことがわかります。無毒性量とは、ある物質について何段階かの投与量を用いて毒性試験を行なったとき、有害な影響が観察されなかった最大の投与量のことです。通常1日当たり体重1kg当たりの物質量(㎎/kg体重/日)で数値が大きいほど安全性が高くなります。加えて蒸気圧値の数値からは、床下に処理されたジクロロメゾチアズが蒸散されることが極めて少ないことが分かっています。これらの安全性データから作業される皆さま、施主様がご安心してご使用いただけることでしょう。おわりに私共は、薬剤開発を通じて環境や人に配慮した薬剤を追求し、持続可能な社会の実現への取り組みをこれからも進めてまいります。その一つとして有効成分「ジクロロメゾチアズ」の特性を活かした土壌処理剤「ネクサスZ(ゼータ)800」が貴重な木材資源保護の一翼を担えることを期待します。また、今回の「伝播効果」評価において協会会員に統一化された試験方法での比較の必要性を周知されることに繋がれば幸いです。最後に、この場をお借りして今回の伝播性能試験方法を考案頂き、ご尽力賜りました京都大学生存圏研究所 吉村教授に感謝申し上げるとともに、ご逝去を悼み、心からのご冥福をお祈りいたします。表1 ジクロロメゾチアズの物性表表3 伝播性能比較試験(京都大学生存圏研究所 実施)ジクロロメゾチアズZi-2901メソイオン系化合物0.07㎎/L一般名開発名IRAC分類水溶解度蒸気圧(20℃)3.14×10-7Pa経口毒性LD50皮膚刺激性>5,000㎎/㎏(ラット)刺激性なし(ウサギ)表2 イエシロアリに対する効果発現速度
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