agreeable 第60号(令和3年10月号)
15/23

た。その新築では基礎の内側にスタイロフォームを貼っている内基礎断熱で、「再施工や駆除の際は保証が出来ないな」「数年後、再防除の依頼があった場合どのように施工しようか」など考えて課題を先送りにしていました。しかし今回注文を受け施工した床下の内基礎にはスタイロフォームが全く貼られていませんでした。もしやと思い、基礎の外側をたたいてみると明らかに軽い音がしたので、施主様に「この基礎の外側に断熱材が貼られているかもしれません。」と伝えたところ「よー分かったね~」と言われ家の中から基礎の構造や断熱材を貼っている所が分かりやすく描かれたカタログ的な物を持って来て下さいました。なんと、その住宅は温暖なこの地域には珍しい外基礎断熱工法だったのです。      基礎断熱から侵入してくるシロアリ駆除の難しさやリスクを説明して、了承を頂いて穿孔すると、やはり基礎の外部にスタイロフォームが貼られていました。もっとシロアリ被害が甚大か、補修が容易なら基礎の仕上げ上部をディスクグラインダーで切断し土台とスタイロフォームとの間隔を確保して薬剤処理したいところですが、お施主様との相談の上、今回は穿孔注入処理を行う事になりました。今後はおそらく似たようなケースではほとんど同じような作業になるのではないかと思います。今回の事例は、私自身の確認不足で作業を進めた結果、行うべき作業を行わずして作業を終えるところでした。もちろん外から穿孔注入したからといって完璧とは言えませんし再発リスクがなくなる訳では無いのは承知の上です。今後このような事が無いよう、より一層事前準備を徹底してまいります。これから先、省エネルギー住宅、低炭素住宅の推進により基礎断熱工法はますます増えていくと考えられます。住む人にとって快適で尚且つ省エネ、地球温暖化対策と良い事だらけですが、私たちシロアリ防除の仕事に携わる者としては悩みの種でもあります。他県でも、基礎断熱材工法の被害など新工法による様々な問題が懸念されていると聞いておりましたが温暖なこの地域での基礎断熱はそこまで必要かと疑問です。国が勧める人間が快適な住環境は虫たちにとっても快適な環境となり得ます。寒い地域で慣例となっている基礎断熱工法は今まで対岸の火事として見ていたことも既に身近で実際には増えており他人事ではなくなってきました。起こってしまった事例に目をそらすだけでなく、お客様に対しての説明や理解、そして対応方法などメーカや駆除業者を含めた形での施工方法や仕様づくりが必要と思われます。13agreeable No.60 October 2021/10

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る