agreeable 第62号(令和4年4月号)
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ぶ機会も多いので、改めて面白いなと思いました。庫裏の説明はここまでにして、本題の調査ですが、こちらの庫裏は24m×繋がっている構造になっていました。蟻害は本堂より数は少なかったですが何箇所かありました。全体を見て本日の調査は終了しました。調査を終えて約1か月後にシロアリ防除による薬剤散布を行いました。本堂・庫裡と合わせて約625㎡もあり、3人がかりで1日かけての作業となりました。施工は被害のある場所には穿孔処理を行い薬剤注入、それ以外は床天面、壁、地面への薬剤散布といった内容です。神社は基本、高床式の為、風通しが   の変化により湿気が逃しにくくなり建良くシロアリが好む湿気を逃しやすく、床下の蒸れを防ぎ易くなっています。湿気の多い日本の風土に適した構造でシロアリの被害を抑えてくれています。また、使用されている木材もヒノキやスギなどが使わている事が多く、ヒノキにはシロアリが嫌う「ヒノキチオール」という天然の殺菌・殺虫成分が含まれておりシロアリに強いとされています。先人の知恵は本当に素晴らしいと思います。しかし、何百年と経っていくと環境の変化や生活様式物が腐朽していきます。すると、シロアリが侵入し被害が発生してしまう事も出てきてしまいます。全国で神社はおよそ10万社以上あり、これは文化庁が把握しているものだけで10万件で、実際には20万~30万社もの神社が存在すると言われています。その全ての神社に対してシロアリ防除を行ってもらいたい気持ちはありますが、予算の問題などシロアリ被害が出てから施工を依頼する場合も多く、その時にはすでに食い尽くされてしまっていて大掛かりな工事が必要になってしまうといった事例も多く、その前に点検や防除を行う事ができたら日本を象徴する神社を後世にも良い状態のまま残していく事ができます。そんな歴史ある建造物を守っていける仕事の一員でありその役割を担っている者の一人として意識を高く持ち歴史的建造物へのシロアリ防除・点検の必要性をもっとアピールしていきたいと思います。15agreeable No.62 April 2022/414mの約336㎡あり住職のご自宅と写真4 本堂床下 薬剤注入写真6 穿孔処理をした後の木栓写真3 本堂床下 穿孔処理写真5 穿孔処理をした後の木栓

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