agreeable 第62号(令和4年4月号)
8/23

はじめにお知らせ飛散した胞子はどこへ(その一)飛散した胞子はどこへ(その二)飛散した胞子はどこへ(その三) .      6YouTubeにアップしてくれましPUQ)。しいたけの傘が開く場おとなの自由研究と謳っているにもかかわらず小学生の自由研究のような内容が続いています。次回こそ「おとなの自由研究」になりそうですと言いつつ、今回もまったりと続けることをご容赦ください。まずはうれしいお知らせです。前回シイタケの傘が開いていく写真をお届けしましたが、その様子を前回登場した女性がた(https://youtube/QLFpe7面は4分半ほどの動画の最後にでてくるだけですが、写真とは違う躍動(?)するシイタケを見ることができます。また、あの女性が胞子まみれになりながら撮影した胞子の動画もありますので、ぜひご覧ください。これまで数回にわたって確認してきたように、木材腐朽菌はきのこ(子実体)を作り、そこから胞子を飛ばします。では、胞子はどの程度遠くまで飛んでいくのでしょうか。今回は胞子の広がり方について確認してみたいと思います。使用するのは先の動画で紹介されていたミニチュアホダ木です。まず、付着した胞子を見つけやすくするために色がついた紙を敷きます。つぎに敷きつめた紙の端の方に水を入れることのできる容器を置きましょう。この容器にミニチュアホダ木を立てる都合上、大きすぎず小さすぎず、適当な大きさ・深さのものを選んで下さい。この辺の材料は全て百均で入手できます。あとは色紙の上にカメラをセットし、撮影モードをインターバル撮影にしてシャッターを押します。写真1はインターバル撮影で得られた中の1枚です。青色の紙の上に胞子がきれいな同心円状に広がっているのが分かると思います。ただ、研究者というのは疑い深い人種で、一度の実験では判断しない性分になっています。また、この実験では胞子の密度も分かりません。そこで追試に突入です。先の実験は職場の居室で行いました。12月初旬の撮影でしたのでエアコンを我慢しても防寒着でぎりぎり耐えられました。しかし、12月下旬に行う追試を防寒着だけでしのぐのは無理。ということで、自宅の物置部屋を使っての撮影に切り替えました。使用した道具は前回と同じです。しかしシイタケの傘が開いてから1週間以上放置しても何も起きません。このとき胞子紋ができなかった本当の理由は分かりませんが、寒い部屋におかれたシイタケは傘の開き具合が悪いように感じました。寒くなると顔をだすくせに、シイタケが大きく成長したくさんの胞子を出すためにはある程度の温度が必要なのかもしれません。ということで再び職場の居室を使っての撮影に逆戻りです。三度目は紙に換えて大きな黒い布を一枚敷きました。また、布の上に定規を載せ、そこに一円玉を等間隔で並べます。そのほかは初回と同様です。ただしある程度の温度もシイタケ及び自身の健康上必要と考え、日中は天井埋込型のエアコンを22度に設定して撮影開始です。加温の効果か前回に比べてシイタケの成長はかなり良いようです。しかし何も起きません。一方、シイタケの方はこれ以上無理というくらい張り切った状態です(写真2)。ヒダからはなんとなくモヤモヤとしたものが漂っているようにも見えます。ひょっとしたらエアコンの風の影響で胞子が布の外まで飛んでいってしまっているのかもしれません。そこで何かないかと探すと「ストップ!!熱中症」の横断幕が目に飛び込んできました。どんなときにも頼りになる「しろあり対策協会」です。さっそくインディアンテントをイメージしてホダ木、カメラ、布などを包み込むように横断幕を巻き付けます。さらにテント上部にある隙間を塞ぐため頭にビニール袋を被せました(写真3)。そしてじりじりしながら次の日を待ちます。第4回I-agreeable No.62 April 2022/4おとなの自由研究写真1 飛散した胞子の分布(その1)図1 動画のQRコード〜木材腐朽菌〜森林総合研究所 桃原 郁夫

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る