テラニンファ・ミラビリス(ナガケカムリ)ユウコモニンファの1種3agreeable No.66 April 2023/4せ(図4はみだれ髪ですが)、美しさも感じさせますね。このトリコニンファ・アギリスは、1877年にi ではじめて特徴を記載され、命名された種です。「トリコ」は髪の毛、「ニンフ」は乙女を表す語で、この原生生物の印象をうまくとらえた名前です。この種は北米・ヨーロッパ・東アジアのヤマトシロアリ属のシロアリに広く共生しているようです。ヤマトシロアリに共生する原生生物の中で、最も大きな種が「テラニンファ・ミラビリス」です(図7)。体長は200-250μmで、トリコニンファに近い仲間です上がりから、たくさんの鞭毛が輪状の列を作って生えています。まるでゴカイの仲間(環形動物)やヤスデの仲間(節足動物)のようで、パッと見たところ単細胞の生物には見えません。テラニンファの仲間は、これまで東アジアのヤマトシロアリ属の種だけから見つかっており、東アジアにだけ分布しているのではないかと思われます。図2の白い矢印の種は、屋久島、徳之島、奄美大島に生息するオオシロアリ(図8)に共生する、ユウコモニンています。シロアリではオオシロアリだけから見つかっています。今回はトリコニンファの仲間でしたが、次回は別なグループの原生生物をご紹介します。ス」です(図4)。体長が70-90μmの種です。細胞は全体として紡錘形なのですが、細胞の前半部分には長い鞭毛が多数、縦方向の列をつくって生えています。後半部は鞭毛がなく、柔らかくてふにゃふにゃです(ただし小さすぎて触れません)。細胞先端の尖った部分はくちばし状構造と呼ばれ、最先端部にはキャップという鞭毛が生えていない部分があります。鍍銀染色法で染色した標本(図5)をが集まってできています。)鞭毛の列や副基体は体の前後軸の方向から見るとほぼ放射状に並んでいますが、くわしくみると、体を前後軸のまわりに180度回転させるとちょうど回転前と同じになる、「2回転対称」の体のつJosephLedy博士によって、シロアリに共生する種の中が、やはり変わった形をしています。細胞の先端にはくちばし状構造があり、たくさんの鞭毛が生えています。その後ろ側の部分は、体の表面の盛り上がりと窪みが規則的に繰り返され、節のように見えます。それぞれの節の盛りファの1種です。体長は大きく、130-250μmくらいあります。くちばし状構造部分に長い鞭毛が、それ以外の部分から短い鞭毛が列をなして生えており、体中が鞭毛に覆われ見ると、核が1つあり、その中にDNAが含まれています。その核の周囲を「副基体」というひも状の構造がたくさん取り巻いています。(副基体は「ゴルジ体」くりになっています(図6)。私たちが普段見かける動物とは形が異なり、妖怪じみた奇妙な印象を受ける生き物ですが、長い鞭毛は女性の髪を思わ図5 トリコニンファ・アギリスの染色標本図8 オオシロアリの創設初期のコロニー図6 前方から見た体の構造の模式図 180°回転すると重なります。図7 テラニンファ・ミラビリス
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