3.グエン朝建築物の構造9agreeable No.67 July 2023/7●●●います。柱の間隔は建物毎、また同じ建物でも異なり、大凡2〜3m間に立ち並びます。柱には直径20〜50㎝の太い丸太材が使用され、脚部を束石に乗せた石場建てです(写真7)。ベトナムは地盤が固く地震が無いので、市街地の建物でも鉄●筋入りコンクリートの柱と床版を造り、壁はレンガ積みで、耐力壁のような役割を持つ壁はありません(写真8)。次回は、隆徳殿の構造性能について報告します。ている建物や焼失・倒壊した建物を白抜きで示しています。皇城内の建物は塀で区画されており、塀には大小様々の門が付いています。それらの門には全て名前があり、修復された門は鮮やかな色彩と彫刻が施されています(写真4)。す。柱や梁などの木材は「鉄木」と言われる広葉樹で、比重は0・8を超えるような堅木です。の小屋組を持っています。架構は柱、ケオと呼ばれる登り梁と大梁を用い、柱と梁はガッチリとした仕口で組まれています(図3)。皇城内の建物は全て木造建築物で太和殿のような大きな建物は2つ屋根は瓦葺きで軒先には雨樋はありません。瓦屋根に沿って流れた雨水は、そのまま外壁に当たるので雨染みが著しいです(写真5)。また、2つの屋根の間には谷樋が設けられており、雨水は谷樋の先端に設けられた龍の口から吐きだされ、縦樋がないため、この部分も著しく汚れています(図4、写真6)。4月から10月までの雨期になると集中豪雨の際、フォン川の増水で皇城周囲の壕が氾濫し、雨漏りや床上浸水することもあるのですが、水が引いて乾けばよいので、壁面の汚れはさほど気にしないようですが、部材の腐朽は問題視されています。建物の外壁はレンガを積んで漆喰で固めたものであり、内壁は柱間を木製の建具や板戸で仕切っているだけで、開放感のある空間を構成して写真4 修復された門図3 遺構建築物の架構図写真7 太和殿の内観写真6 谷樋の先端図4 谷樋写真5 外壁に染みこんだ雨水の跡写真8 施工中の住宅(フエ市内)
元のページ ../index.html#11