られ、蟻害、腐朽、その他虫害が多数見受けられました。松合地区は、平成11年の台風18号による高潮災害で建物の多数は床上浸水しました。その影響もあり白蟻の被害も多く、床下の部材の腐れも多く感じられました。この先、後世に残していく為には、定期的な蟻害・腐朽検査を続けていく必要があると思われます。最近よく耳にする、SDGs持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)(https://sustainabledevelopment.un.org/sdgs)として知られる期限を定めた17の目標は、「2030アジェンダ」のことです。169のターゲットと230の指標からなり、全人類の「やるべきことのリスト」であり、持続可能な未来のための必要不可欠な目標であるとされています。日本しろあり対策協会の文化財等蟻害・腐朽検査も、SDGsの考えに近いものがあると思います。古いものの良さ、新しいものにはない文化財を未来に残していく為にも、蟻害・腐朽検査は必要です。日本古来の木造建築物のみならず、世界中の文化財が、蟻害・腐朽検査によって未来永劫、末永く維持されていくことを願っています。のは2052年になるといわれています。現在、被災した建造物の解体作業が行われ、復元に向けて作業が進められていますが、すぐに組みなおされるわけではなく、長期間の保管が必要です。丁寧に解体された部材は、大きな保管場所に保管されています。熊本県しろあり対策協会では、令和3年(不開門)と、令和5年(馬具櫓)に、いつか復元されるまで保管されている部材の蟻害・腐朽検査及び白蟻防除奉仕作業を実施しています。まだまだたくさんの部材が安置されています。白蟻の被害を受けないようにしていくことが大切です。余談ですが、現在の天守閣は再建されたもので重要文化財ではありません。しかし、櫓・櫓門・塀など築城当時のまま残されている建造物が数多くあり、国の特別史跡とされています。熊本県宇城市にある松合白壁土蔵群は、戸時代築14棟、明治時代築26棟などがあり、景観形成住民協定の県知事認可を受けて、環境整備事業が行われています。その中で、郷土資料館(明治36年築で郵便業務が行われていた建物)と、下萬屋(明治3年築)、舟津屋(明治5年築)の蟻害・腐朽検査を実施しました。全体的に経年劣化症状がみ令和2年7月、熊本県人吉市にて記録的 す。な集中豪雨が発生しました。人吉市を流れる球磨川が氾濫し、青井阿蘇神社も水没し、多大な被害を受けました。熊本県しろあり対策協会では、青井阿蘇神社の継承殿の蟻害・腐朽検査及び白蟻防除奉仕作業をさせていただきました。青井阿蘇神社の中には7つの重要文化財の建造物があり、そのすべてが水没し被害を受けています。継続して蟻害・腐朽検査をしていく必要がありま天草市河浦町の崎津天主堂はキリシタン文化を象徴し、歴史を物語る貴重な建造物です。波静かな入り江の集落の中のゴシック風の建物は、2018年7月に世界遺産登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の一つです。昭和8年の建設で、老朽化が大分進んでいます。熊本県しろあり対策協会でも、大切な文化財を少しでも長く残したいと考え、蟻害・腐朽検査と白蟻防除奉仕作業を実施しました。月10日)◎青井阿蘇神社(令和2年11月◎崎津天主堂(平成29年4月5◎終わりに9日)日)◎松合白壁土蔵群(令和元年1013agreeable No.67 July 2023/769棟の漆喰塗籠大壁造の木造建築物で、江
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