agreeable 第68号(令和5年10月号)
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令和5年10月1日からインボイス制度がスタートしています。インボイス制度とは、消費税に関する制度であり、免税事業者か否かに関係なく、すべての事業者に影響を与える可能性のある制度です。ここでは、インボイス制度の概要について解説します。インボイス制度とは、消費税の税額控除に関する制度です。消費税の原則的な計算方法は、「売上の消費税−仕入の消費税=納税額(又は還付額)」で計算しますが、インボイス制度が導入されると、「仕入の消費税」に影響が出てくることになります。インボイス制度開始前までは、誰から仕入をしても、「仕入の消費税」をマイナスすることができました(「仕入の消費税」をマイナスすることを「仕入税額控除」といいます)。しかしながら、インボイス制度開始後においては、仕入に関して、インボイスがないと、原則として仕入税額控除が制限されることになります。インボイスとは、次の記載事項が記載された書類のことをいいます。①適格請求書発行事業者の氏名又は名称②登録番号③取引年月日④取引内容(軽減税率の対象品目である場合は、その旨)⑤税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)⑥適用税率⑦税率ごとに区分した消費税額等⑧書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称インボイスの正式名称は「適格請求書」ですが、実際の書類が「請求書」という名称か否かは関係ありません。たとえば、「領収書」であっても、「納品書」であっても、①から⑧の事項が記載された書類が「適格請求書」(インボイス)となります。登録番号とは、税務署に適格請求書発行事業者の申請を行い、登録を受けることによって、税務署から通知される「T+13桁」の番号のことをいいます。そのため、インボイスを交付するためには、まず、税務署の登録が必要となります。なお、適格請求書発行事業者は、課税事業者である必要がある点に留意が必要です。3で記載の通り、インボイスを交付するためには、適格請求書発行事業者になる必要があり、適格請求書発行事業者は課税事業者である必要があります。そのため、免税事業者の場合は、インボイスを交付することができません。1で記載の通り、インボイス制度においては、インボイスがない仕入について仕入税額控除が制限されることになります。そのため、仕入側の立場から考えると、相手方がインボイスを交付できる事業者か否かによって、消費税計算に影響を及ぼすため、インボイスを交付することができない免税事業者との取引を見直す可能性があります。インボイス制度を考えるにあたっては、売上側の視点と仕入側の視点を別々に考える必要があります。(1)インボイス制度における売上側の視点①適格請求書発行事業者登録の要否1.インボイス制度とは2.インボイスとは3.登録番号とは4.免税事業者とインボイス制度5.インボイス制度を検討するにあたっての売上側の視点と仕入側の視点         公認会計士・税理士 岡部 正義12agreeable No.68 October 2023/10インボイス制度の概要について

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