べての売上が一般消費者を対象としたような事業者でない限り、原則として適格請求書発行事業者の登録を受けることになると考えます。②インボイスの交付義務と写しの保存義務適格請求書発行事業者は、インボイスの交付義務があります。そのため、売上取引の際は、「2.インボイスとは」の①から⑧の事項を記載した書類(インボイス)を交付する必要があります。また、交付したインボイスについては、写しを保存する義務があります。そのため、インボイスを交付した場合は、その写しを課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間保存しておく必要があります。(2)インボイス制度における仕入側の視点①消費税計算とインボイスの有無の関係消費税の計算方法には、大きく分けて原則課税と簡易課税がありますが、インボイス制度が関係してくる計算方法は、原則課税です。簡易課税で計算する場合、仕入の消費税をみなし仕入率で計算するため、インボイスの有無は関係ありません。なお、令和5年度税制改正によって、2割特例という計算方法が新設されましたが、当該2割特例の場合もインボイスの有無は関係ありません。よって、インボイスの有無が重要となるのは、消費税を原則課税で計算する事業者のみとなります。②インボイスがない場合の経過措置インボイス制度開始と同時に、インボイスがない仕入の全額について、仕入税額控除が制限されるわけではありません。経過措置期間として、仮にインボイスでない仕入であったとしても一定割合については、仕入税額控除ができることになっています。インボイス制度における売上側の視点としては、まず、適格請求書発行事業者としての登録を受けるべきか否かという点があります。(ⅰ)従来、免税事業者であった事業者インボイスを交付するためには、適格請求書発行事業者となる必要があり、適格請求書発行事業者となると免税事業者でなくなります。そのため、従来、免税事業者であった事業者がインボイスを交付しようとする場合は、課税事業者となるため、消費税の負担が生じることになります。他方で、インボイス制度開始後においても、免税事業者として継続した場合、仕入側の事業者において、消費税計算が不利になるため、取引を見直される可能性(取引停止や取引価格の引き下げの可能性)があります。そのため、免税事業者にとっては、適格請求書発行事業者になることで生じる消費税負担額と、免税事業者として継続することで生じる売上の減額の可能性を比較検討して、適格請求書発行事業者となるべきか否か検討することになります。なお、インボイス制度開始後において、免税事業者として継続した場合であっても、必ず売上が減額になるとは限りません。なぜなら、免税事業者との取引で影響が出てくるのは、相手方が事業者(特に原則課税で消費税計算をしている事業者)の場合のみであるからです。たとえば、相手方が一般消費者であれば、そもそも一般消費者は消費税申告をするわけではないため、インボイスは関係ありません。そのため、売上の相手方が一般消費者を前提としている場合、仮に免税事業者として継続していたとしてもインボイス制度の影響は受けないことになります。(ⅱ)従来から課税事業者である事業者従来から課税事業者である事業者に関しては、す 和11年9月30日までは、1万円未満の取引について、インボ③インボイスが不要となる例外取引には、原則としてインボイスが必要となりますが、例外的に一部の取引については、インボイスがなくても仕入税額控除が可能です。期間の課税売上高が5000万円以下)の事業者の場合、令イスがなくても仕入税額控除が可能です。④免税事業者との価格交渉て仕入税額控除が制限されるため、免税事業者に対して取引条件の見直し交渉をすることが考えられますが、一方的な交渉をした場合、独占禁止法上、問題となる場合があるため、ご留意ください。(詳しくは、公正取引委員会のホームページに公表されている「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」をご参照ください。)てを詳細に解説しているわけではありません。そのため、個々の事業者において、インボイス制度の検討をするにあたっては、国税庁で公表しているインボイス制度の情報をご確認ください。令和5年10月1日から令和8年9月30日まで 税額控除可能令和8年10月1日から令和11年9月30日まで 税額控除可能インボイス制度開始後は、仕入税額控除を行うため・3万円未満の公共交通機関の旅費・3万円未満の自動販売機の利用・郵便ポストに投函する場合の切手代・通勤手当・出張手当また、基準期間の課税売上高が1億円以下(または特定インボイス制度開始後は、免税事業者に対する仕入につい今回の解説は概要であるため、インボイス制度のすべ50%80%13agreeable No.68 October 2023/10
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