agreeable 第68号(令和5年10月号)
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会議室で、扉の敷居の下部に被害痕がありました。ただ、依頼者である公民館の方が畳を剥がして、シロアリを発見したときに殺虫剤を散布したため、シロアリ自体は既に駆除され、生きた個体は見つかりませんでした。しかし、被害の痕跡は生々しく残っていました。この建物は床下のない構造となっています。畳を剥がすと断熱材があり、その下はすぐにコンクリートとなっていました。扉の下の敷居からその下にかけて、食害の痕跡が残っていました。幸いにも依頼者の方の発見が早かったのか、広範囲の被害ではありませんでした。ただ、食害のあった付近の壁の中が、おそらく雨漏りで腐っているのに加え、シロアリの食害で壁内がもろくなっている箇所がありました。拳による打診でも明らかなくらい被害箇所と、無事な箇所の打音は違いました。被害のあった壁面には穿孔して、薬剤を注入する方法を取っていました。ここで経験のない関西支部会の会員の方、そして私が被害箇所の防蟻処理を体験させていただきました。まずは、インパクトで穿孔し、木くずを掃除機できれいにして、そして穿孔箇所に薬剤を注入します。その後、木栓で塞ぎ、処理を完了という一連の作業となります。私自身はDIYを全くしないので、インパクトを触ること自体が初めての経験でした。穴を空けすぎないかと私は普段、白対協の事務局で「しろあり防除施工士」の講習会の開催に関する業務を行っているものの、実際のシロアリ防除の現場を見たことはありませんでした。そんなシロアリ防除の素人である私が、日本木材保存剤工業会関西支部会(以下関西支部会)の令和5年度技術研修会に参加してきました。日本木材保存剤工業会は、防除薬剤などの製造販売会社が集まる団体です。関西支部会は関西エリアに本社、支社がある会員企業で構成されています。白対協事務局よりは、よっぽど現場に近いところにいるとはいえ、やはり製造販売会社の方々もほとんどシロアリ防除の現場に立ち会うことはないため、研修会という形でシロアリ防除の実際の現場を見る機会を設けているそうです。関西支部会のご厚意により、今回、現場研修に参加する機会をいただきました。参加者は、私を含め総勢十一名となりました。今回の技術研究会の講師として、㈲愛媛防虫ランバーの立石氏と清水氏が実際の防除をしながらレクチャーをしてくれました。研修の現場は松山市内にある公民館。イエシロアリが発生し、駆除依頼があったそうです。被害現場は公民館の中の初!穿孔注入技術研修会のお誘い防除の現場            20agreeable No.68 October 2023/10打診をしたら空洞音がしました蟻道と食害の跡現場初心者が見たシロアリ防除のフィールドから公益社団法人日本しろあり対策協会 白鳥 有衣子

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