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しろありNo.151

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概要

しろありNo.151

口切片中央部で表層から内部に向かって 列 行に割裂)である(図 )。コントロールとしては,同一ロットで,天然乾燥し含水率を同様に調整した角材を用いた。各乾燥条件の繰り返しは である。耐蟻性試験法耐蟻性試験には,室内で飼育しているイエシロアリと秋田県立大学構内で採取したヤマトシロアリを用いた。それぞれのシロアリ種に対して,強制および選択摂食試験を実施した。選択摂食試験は,すべての乾燥条件の試験片を組み合わせて行った。ヤマトシロアリによる選択摂食試験は,石膏の上層にの砂層を作った のプラスチック容器に職蟻 頭を投入して , % で 日間暴露することによって行った。イエシロアリの場合は,頭の職蟻を用いて同様の条件で 日間暴露した。強制摂食試験では,上記同様の 容器を用い,, % 下で, 頭のヤマトシロアリ職蟻あるいは 頭のイエシロアリ職蟻に 日間暴露した。耐蟻性試験の結果選択摂食試験の結果を,試験片の採取位置との関係で示すと図 のようになる。この図で,各試験片の番号 および は図 に示した採取位置に対応している。このように採取位置毎にデータをまとめたのは,乾燥過程では材内部で圧力が高くなって温度分布に勾配ができ,それが材成分の熱的変質に影響を与えるかもしれない,という理由からである。結果的には,この推定のようにはならず,採取位置による差は認められなかった。ただし,乾燥条件による摂食量の差は認められ,特に 乾燥材の摂食量が両シロアリ種において有意に大きくなった。次に,これらのデータを,試験片採取位置を無視してまとめてみた(図 )。この図から明らかなように, 乾燥では両シロアリ種による摂食量が有意に増加した。 ではヤマトシロアリによる摂食量が有意に大きくなった。強制摂食の結果(図)でもこの傾向は変わらず,いずれの試験条件でも同じ傾向を示したことになる。耐蟻性低下の要因本実験において,蒸煮処理のように という高温でなくとも,通常の高温乾燥の範囲で使われるで,カラマツ心材の耐蟻性が低下することが明らかになった。一般的に,熱処理によって材の硬度が低下し,それによって耐蟻性が落ちることも考えられるが,蒸煮材の研究によって,このことはすでに否定されている )。したがって,その原因は,忌避物質として存在するフラボノイドが消失することと,摂食促進物質が新たに生成したことであると想像される。カラマツ辺材を各種溶媒で抽出してから蒸煮処理して耐蟻性を調査した結果,蒸煮処理を行ったものは,すべて有意に摂食量が増加する結果を得た )。この現象は,摂食促進物質が抽出成分ではなく主成分に起因していることを示している。このことは,今回( )表 カラマツ材の乾燥スケジュールスケジュール略称 蒸煮条件乾燥条件乾燥 , 時間 , 時間 , 時間乾燥 , 時間 , 時間9876543212019181716151413121110材繊維方向の中央部から木口切片を採取この部位から20個の試験片を調製、1~4はヤマトシロアリ選択摂食試験用、5~8は同強制摂食試験用、13~16はイエシロアリ選択摂食試験用、17~20は同強制摂食試験用である。9~12は熱分析試験に用いた。図 角材からの試験片の調製方法