ブックタイトルしろありNo.151

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しろありNo.151

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概要

しろありNo.151

( )しろあり 年 月食品害虫という呼び方食品害虫 という呼び方は比較的最近のものである。 年頃は,貯穀害虫 と呼んでいた。戦後の食糧難の時代,米はすべて政府の統制下に置かれ,その保管もすべて政府の指定倉庫で保管されていた。そこでは米を害虫やカビから守るため研究が盛んに行われていた。当時の研究者の先生にうっかり食品害虫とでも言おうものなら そんな害虫はどこにいるのだ! としかられたのを覚えている。その後,輸入穀物がどんどん増え,加工食品が増えるにつれ,穀類よりも穀粉の加工食品への虫害が増加した。 年代には からきたのか, 貯蔵食品害虫 と呼ばれることが多くなった。当時お菓子への虫害は健康上も問題であるとして 年には日本食品衛生学会の貯蔵食品害虫研究運営委員会が,食品害虫による被害実態を全国的に調査し,製造工場よりは菓子類の問屋・小売店舗において被害が多いことを警告している )。近年,加工食品の増加と共に,倉庫から食品加工工場へ,更に流通,一般家庭にまで生息が拡大するにつれ,単に 食品害虫 と呼ばれることが多くなった。これは時代と共に呼び方が変化していったというより,被害を及ぼす場所や加害対象物によって呼び方が変化したというべきであろう。この虫は穀類,食品に寄生して生息するだけに食糧の流れに沿って川上から川下へと被害が拡大するが,それぞれの場所で原料穀類か,貯蔵品か,食品かで呼び方が変化したのであろう。対象害虫も変化した。かつてはコクゾウが主体であったが,食品工場へと拡散するにつれノシメマダラメイガやタバコシバンムシ,コクヌストモドキへと変化していった。最近では食品の加害によるロスを防ぐよりはむしろ食品への異物混入として,製品品質上の問題から対策の必要性が高まっている。かつての日本は,米が主食で,魚や肉を家庭で調理していたが,人々の生活の変化とともに加工・調理食品の割合は徐々に増加, 年 %であったが, 年には % 年には %を占めるようになった。加工食品の利用が高まる一方,核家族化が進み, 回の消費量も減少し,余った乾燥食品はそのまま,食器棚に数ヶ月保存されるようになった。一世帯あたり平均 品目の食品を保管し,そのうち %が加工食品であるという商品科学研究所の調査がある。この保管食品が,家庭における食品害虫の温床となり,いまや家庭害虫としての位置も確立しつつある。米国,英国の (家庭害虫)のテキ解 説家庭害虫としての食品害虫 ノシメマダラメイガの場合平 尾 素 一写真 ロンドン自然史博物館昆虫の部屋パントリーペストの案内セット