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しろありNo.152

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概要

しろありNo.152

普通に見られる甲虫である。しかし,花にやってくるのはすべて雄である。雌成虫の飛翔はほとんど観察されていなくて,主にマツの樹皮下におり,そこで交尾する。鳥取県内での被害部にいた個体は雌であったので,後翅を出してみたが雄よりもやや発達が悪い程度であった。飛翔の確認はなされていないが,ヒラタハナムグリの仲間であるヤノヒラタハナムグリは飛翔中の雌個体が採集されているので,本種の雌も飛翔するものと思われる。これまでの文献等からの断片的な情報をまとめると,本種は成虫越冬後,雄のみが花に集まって栄養をとり,再び雌を求めて,マツの朽木に戻ると推定される。このときに雌が性フェロモンを出している可能性がある。交尾後,雌は産卵し,幼虫は夏までに成熟する。ヒラタハナムグリは通常,野外の枯れたマツを食害し,これまで家屋に入った事例は非常に少ない。しかし,マツ材を使った家屋では発生することがあっても,ヒラタハナムグリ自体が材を腐朽させ,弱らせたわけではない。しかし,矢野)では腐朽していない春材を食害していたとある。この春材はかなり湿っていたとのこと。このことから,全く腐朽していなくても,多湿条件下では食害できるのかもしれない。分布北海道,本州,飛島,粟島,佐渡,隠岐諸島,伊豆諸島(大島,利島,新島,神津島,三宅島),四国,九州,五島列島,壱岐,対馬,甑島列島,種子島,屋久島朝鮮半島。トカラ中之島には別亜種が分布している)。タマムシ科クロタマムシ(写真)事例茨城県土浦市,建築後年目の比較的大きな木造家屋。年目より,家の中でクロタマムシが見られるようになり, 年目が最も多かった。アカマツ材の大きな梁本に約個の脱出孔が認められ,天井板上に多数の成虫の死骸があった。家人の話だと持ち山のアカマツを夏季に伐採し,この材を梁に利用したとのこと。このことから,クロタマムシが山に置いてあったアカマツ伐採木に産卵し, 年目から成虫が羽化し始めたことは明らかである。年目以降の発生を聞かないので,産卵後年で大半の個体が出てしまったと推定された)。茨城県つくば市,建築後年目の階建て木造住宅。階押入れよりクロタマムシ個体が見つかった。比較的小さな家でアカマツ梁材も小さかったことから,発生数は少なかったと推定された。翌年の発生は認められなかった。この例も産卵後年目の発生と思われた。この他にも,多くはないがマツ材を使った梁からのクロタマムシの発生事例は年まで,筆者の元に数例報告がある。いずれも上記の事例報告と同様,築, 年の家での発生である。しかし,これまで,クロタマムシの食害により,梁が折れたという報告はない。高知県において, 年月電話架空ケーブルを成虫がかじる被害が報告されている)。成虫の形態体長。体は黒色,唐金色から銅色の光沢がある。まれに緑色,青色を帯びることもある。体下は銅黒色,腹部末端の橙黄色の小紋は変化が多く,ない場合もある。生きている個体は灰色粉で薄くおおわれる。雄は顔面に橙赤色紋があり,前徑節端の内方に鉤状突起があるが,雌では顔面に橙赤色紋を持つことは稀で,前徑節端の内方に鉤状突起はなく,腹端は小歯の間で幅広く,ゆるく弧状に突出する。生態成虫は月に出現し,主に比較的新鮮な( )写真クロタマムシ