ブックタイトルしろありNo.152

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しろありNo.152

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概要

しろありNo.152

ロ波に対する明確な忌避行動は見られなかった。一方,木材中のシロアリに対する間接照射では,周波数と木材の厚さによって,木材内部の昇温傾向とシロアリの死亡率に大きな違いが見られた図の条件の場合, , 分間の照射で%以上の死亡率が確認された。しかし,同条件においてで照射した場合には, 分間の照射で死亡率が%以下であった。また,木材試料中のアメリカカンザイシロアリに対して部分的な照射を行ったところ,一部分の照射では, , 分間の照射によって木材内部温度がこれまで報告されているアメリカカンザイシロアリの致死条件)に達していたにも関わらず,無照射部分へとシロアリが逃げていくため,一部分の照射では十分な死亡率を得ることができなかったが,照射部をマイクロ波の電界方向に移動させ,木材をスキャニングしていくことで%以上の死亡率を得ることができた。考察直接照射における結果から,マイクロ波はシロアリに対して加熱効果以外の影響を及ぼしていないことが示唆された。また, 分間の間接照射試験において,木材内部の温度が致死温度付近まで上昇していたことから,本研究で使用した最大電力密度では十分に加熱効果が得られることが示唆された。各種シロアリに対して木材のような加熱効果が得られなかったのは,シロアリの物理的な要素やマイクロ波吸収率が起因していると考えられる。マイクロ波は物体に電界エネルギーが吸収されることで発熱効果を得るが,木材と比較してシロアリ頭当たりの体長や体積が極端に小さいため,照射したマイクロ波エネルギーの大部分が透過し,十分な発熱が生じなかったと考えられる。また,間接照射においては,被照射体である木材の厚さと周波数が死亡率に大きく影響を及ぼしていた。特にで分間照射した場合,上下の木材の厚さがの場合は十分な死亡率を得られなかったが,上下の厚さがの場合は, 分間の照射で%の死亡率を確認した。これは,マイクロ波の波長に依存した浸透深さに起因していると考えられ,マイクロ波照射によってシロアリを非破壊的に駆除する場合,木材の厚さと,周波数などのマイクロ波の性質を十分に考慮する必要があることが示唆された。加えて,実際の木材では,複数回の部分的な照射を繰り返し行う必要があると考えられ,マイクロ波による非破壊的なシロアリ駆除を行う際には,より短時間で駆除できる装置の設定が不可欠であると考えられる。引用文献)( ))( )( )) ( )) ( )) ( )() ( )( )図, 分照射後の木材内部温度(厚さ上,下)