ブックタイトルしろありNo.152

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しろありNo.152

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概要

しろありNo.152

( )しろあり年月はじめにシロアリは,集団生活をし,女王,兵蟻,職蟻の分化があるなど社会性昆虫であるという興味深いテーマがある。兵蟻はコロニーの防衛に専念するカストで,職蟻は生殖と防衛活動を除く食物の採取,生殖虫,幼虫,卵の世話などコロニーの維持に関わる仕事を受け持つカストとされ,分業に基礎を置きながら個体間の栄養交換,フェロモンを用いた情報交換など社会性行動によってコロニーの統合をはかっている。しかし,病原微生物に対するコロニーの防御に集団がどのように関与しているかは不明の点が多い。社会性昆虫は個体密度が極端に高いために常に病気の伝播が起こりやすいリスクを背負っているが,自然界での病気の発生は極めて少ない。加えて,シロアリなどの社会性昆虫に対する病原微生物を用いた生物的防除は,研究室レベルではその有用性が示唆されているにもかかわらず,野外においてはその効果が低減する。こうした事実から,社会性昆虫は集団であることを利用した生体防御機構を有していると考えられるが(図),現在の昆虫病理学では,単独性昆虫が前提となっており,社会性昆虫と単独性昆虫の生体防御機構の間に区別はない)。そこで,社会性昆虫の防御メカニズムの解明することを視野に,昆虫病原性糸状菌に対するイエシロアリの生体防御機構を調査している。集団レベルにおける生体防御機構シロアリのグルーミングの制御と糸状菌の病原性の増強を明らかにするために,本研究では,供試昆虫として,福岡市で採取したイエシロアリ職蟻を使用し,まず,社会性昆虫であるイエシロアリを集団飼育すると単独飼育に比べ病原糸状菌に対して抵抗力を著しく増強させることを見出した。さらに,個体を物理的に隔離すること,あるいは薬剤を用いて化学的に行動を制御することで,集団飼育時に見られる病原菌に対する抵抗力の増強が集団時に行われる行動によるもの,またそれには菌接種時間以内研究トピックス社会性昆虫特有の病原微生物感染防御機構の調査柳川綾????図社会性昆虫の生体防御レベルに見る相互作用