ブックタイトルしろありNo.152

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しろありNo.152

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概要

しろありNo.152

菌園からの代謝熱の増加が大きいためであると考えられる。大きな塚ほど内部二酸化炭素濃度が低くなることはうまく説明できない。しかし,データとしては示していないが,大きな塚ほど外壁に多くの空間が空いていることが観察されたので,その空間と外部との間の比較的薄い外壁を通して効率的に換気を行っているからではではないかとも考えられる。これならば,大きな塚では厚い外壁によって保温効果を高く保ちつつ,壁の強度が維持される範囲で壁内に空間を作ることで効率的に換気することができるのかもしれない。スミオオキノコシロアリは,コロニーが成長して大きな塚を作るようになるにしたがって,熱帯林という環境にうまく適応していることがわかった。ただし,塚が小さい間は内部環境が最適とは言えず,このような小さな塚の生存率は低く抑えられていることが予想される。実際,サバンナの種に比べると小さい塚の頻度が極めて低い(図)。一方,相対的に大きな塚の頻度が高いのは,サバンナでは捕食性のアリによる死亡率が高いのに対し),熱帯林にはそのようなアリが少ないことがその理由のひとつであるかもしれない。引用文献) ( )( )A020406080100120140160塚測定値(cm)底面半径垂直方向の外壁厚水平方向の外壁厚塚内部高23B212527293133温度(℃)内部温度外気温(内部温度測定時)01234567内部二酸化炭素濃度(%)C20 40 60 80 100 120D0510152025303540450塚高(cm)菌園現存量(kg)図塚高に対する( )塚測定値,( )温度,( )内部二酸化炭素濃度,( )菌園現存量.塚高,底面半径,水平方向の外壁厚は測定の平均値.00.10.20.30.40.50.61 2 3 4 5 6 7M. carbonarius (n = 60)M. bellicoisus (n = 33-43)塚高階級相対出現頻度図スミオオキノコシロアリとサバンナの)の塚高による出現頻度分布の比較。