ブックタイトルしろありNo.152

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しろありNo.152

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概要

しろありNo.152

が必要であり,有翅虫ではアメリカカンザイシロアリがナカジマシロアリとカタンシロアリに,またダイコクシロアリがイエシロアリに似ていることから,これらの分布地では正確な同定が必要である。このことから,必要に応じて,協会の指定した防除士または個人が,送付された排出物,翅,シロアリ標本などに基づいて同定の上,様式に従って種名の確認証を発行する。事前調査防除処理に際しては,入念な事前調査が必要で,当該建物および周辺地域の被害状況について調査や聞き取りで発生情報を入手しておく。調査は,協会の蟻害・腐朽の検査診断手法に従って行い,調査結果は写真,図面,用紙,電子データなどに記録しておく。防除処理法の選定被害範囲,被害程度などの調査データと防除経費の見積もりを依頼主に提示して,防除方法の選択理由と期待される防除効果について十分な説明を行い,防除方法を決定する。現在実行し得る防除法は,穿孔注入処理,塗布・吹付け処理,および燻蒸処理である。なお,穿孔注入処理等の木部処理では,調査データを基に処理の範囲と箇所を事前に取り決めた上で見積もりを行う。穿孔注入処理法処理部の露出作業床組,小屋組,壁内内部,コロバシ根太など処理作業の際侵入不可部分は,畳,床板,天井板,壁板などを取り外し,可能な限り構造部材を露出させる。目印虫糞排出孔および被害部の穿孔予定箇所にはペイント,シールなどで必ず目印を付け,処理の有無,処理日時,薬剤名などの情報を記入しておく。穿孔注入処理穿孔箇所は,虫糞の排出孔付近および被害部よりやや広い部分とその周辺の部材接合継手部分などとする。穿孔方向は垂直(上下)方向や水平方向に角度を変えて行い,また部位によっては星型や千鳥足状に穿孔して防除効率を上げる。穿孔作業は被害部材の強度を損なわないような間隔で行い,直径以下のドリル刃先を使用する。その際,ドリル刃先の木材内部貫通力の変化に注意して蟻孔道の確認を行った上で薬剤を注入する。薬剤の注入圧は,被害部材の孔道内に虫糞が詰まって薬剤流入を阻害されないように適宜調整する。薬剤注入器の噴口は,穿孔径に見合った針ノズルまたは円形口タイプのものを使用する。処理孔には木栓をして目立たないようにする。塗布・吹付け処理穿孔注入処理のできない被害部材に対しては,塗布と吹付け処理によって,薬剤が十分浸透するように処理を行う。また,被害部材以外の木部も塗布と吹き残しがないように全面処理を行い,さらに太物木部のひび割れ箇所や木口には注意して処理を行う。使用薬剤協会に登録した乾材シロアリ用駆除薬剤から選定し,その使用法の指示を遵守する。薬剤の使用量被害状況によって異なるが,穿孔注入処理では,選定した薬剤が蟻孔道に流入し,その効果が十分に発揮される薬量とする。薬剤の多量使用による漏出や処理の際の流出,汚染などには十分に注意する。虫糞の清掃穿孔注入処理以降は,落下する虫糞の有無が生存虫確認の手掛りとなるので,処理終了後虫糞を必ず除去しておく。また,被害部材の内部に存在する大量の虫糞は,振動で落下する可能性があるので,処理時に可能な限り除去しておく。施工上の安全対策建物内や居住空間での防除作業であることから,防除薬剤の安全使用と汚染防止に十分配慮する。また,作業が狭い空間で行われることから,作業員の安全確保にも留意する。小屋裏の作業では,吊天井などの工法があることから,天井板を踏み抜かない強度確保や上部野地板等から突出する釘に対処して,足場の確保やヘルメットなどの安全具と照明,換気などの安全対策に心掛ける。( )