ブックタイトルしろありNo.153

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しろありNo.153

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概要

しろありNo.153

( )しろあり年月はじめに年月日に発生した阪神・淡路大震災から年となった。震災以降,木造住宅の耐震性能は被害実態や倒壊原因に関する調査研究,その後の実大振動実験などによる研究成果などから順次強化され, 年の建築基準法大改正や品確法の制定施行などにより,適正な設計施工前提として竣工時点では高い安全性を獲得するにいたっている。しかしながら,耐震性能を長期間担保する耐久性については,建築基準法に関して,改定は行われていない。品確法,住宅性能表示制度において劣化の軽減措置の項目が制定されているが,優先項目ではなく,樹種の耐久性にかかわらず構造材断面が一定以上であれば耐久性を有するものとするなど,効果が疑わしい手法も組み込まれている。一方,経年および生物劣化にともなう構造耐力の低下は,住み手の生活行為や維持管理に大きく左右されるものであり,耐震規定を含む法規定強化のみでの対応は困難である。したがって,住宅の耐震水準の恒常的維持を考える上で,住まい手の維持管理への関与は重要な要因であるといえる。そのような中, 年月になって長期優良住宅の普及促進に関する法律が施行され,維持管理の重要性がうたわれるようになった。筆者らは,阪神・淡路大震災直後の年に住まい手および工務店など木造施工者を対象に,耐震性や耐久性に関するアンケート調査を実施している。住まい手調査では,耐震性や耐久性への意識および維持管理実態に関する項目を設定し,耐震性や耐久性に関して,住まい手の意識が希薄で維持管理の努力不足を明らかにしている)。一方,木造施工者に対しては木造住宅の耐久性・耐震性に対する考え方と,その施工実態について接合部の補強金物を中心に検討し,地震および台風に対する考え方と対応に地域差が見られ,地震に対する意識が低い地域では,補強金物の使用率は低く,筋違い断面寸法も小さくなっており,耐震性の向上への対応が遅れていることを明らかにした)。年に調査対象は異なるが同様のアンケート調査を実施し,建築基準法の改正,品確法,長期優良住宅促進法の施行など木造住宅を取り巻く状況の変化が,施工者や住まい手の意識に与えた影響について検討を行ったので報告する。住まい手調査住まい手調査の概要調査対象は年調査を参考に,過去の地震災害および気候区分を考慮して,沖縄県を除いた全国から都市(北広島市,仙台市,横浜市,静岡市,福井市,神戸市,和歌山市,津山市,高知市,鹿児島市)を選定した。つぎに各都市の住宅地から住宅地図を用いて戸建て住宅(各都市戸)を抽出し,郵送による調査票の送付回収を実施した。調査の実施は年月,調査票の送付総数は件,回収件,回収率は%であった。住まい手調査結果調査対象住宅の概要図に回答者住宅の構造種別を示す。本調査では構造種別割合は, 在来軸組住宅がもっとも高く( %),ついで鉄骨住宅( %), ツーバ研究トピックス木造住宅の耐震性および耐久性に関する住まい手と施工者の意識構造土井正)・北本裕之)0%       20%       40%       60%       80%      100%在来木造木質プレファブツーバイフォー鉄骨不明・その他図調査対象住宅の構造種別