ブックタイトルしろありNo.154

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しろありNo.154

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概要

しろありNo.154

ベトナム・カッティエン国立公園保護林およびアカシア・マンギウム植林地本調査地は,熱帯乾燥林地域にある。カッティエン国立公園は人間と生物圏( )計画による番目の国際生態保護区である)。ベトナムはその森林の多くがベトナム戦争によって失われたため,本国立公園自体も孤立した万ヘクタールほどの保護林となっている。海外からのエコー・ツアー客を積極的に誘致したいという意図から(写真),温水シャワー設備のあるコテージ風の立派な宿舎もあり(写真),また,夜には,ナイトサファリと称したアニマルウオッチングツアーも運行している。筆者らもこのナイトサファリに参加したが,シカとイノシシとあと種類の小型の哺乳類を見ることができた。本調査地についてはまだ結果をまとめるまでにはいたっていないが,三巻氏も述べている通り,カッティエン国立公園の保護林では,土壌食シロアリとキノコ栽培シロアリが多く,一方,アカシア・マンギウム植林地ではキノコ栽培シロアリと木材食シロアリが多く採集された)。ちなみに,本誌の表紙の写真は,本植林地の予備調査時に撮影したものである。また,木材腐朽菌類については,多雨林地域の場合と同様,アカシア・マンギウム植林地において国立公園の場合よりも種多様性は低かった)。余談になるが,ベトナムの人達は朝食として(フォー)を外食することが普通とのことで,植林地調査では日替わりでいろいろな種類のフォーを堪能することができた(写真)。さいごに以上,筆者らの研究グループが現在行っている東南アジア熱帯地域におけるシロアリと木材腐朽菌類の多様性調査プロジェクトについて紹介した。今年度の調査で一応の取りまとめを行う予定であるが,来年度以降も継続的な調査を行いたいと考えている。本誌の読者で興味のある方の参加は,旅費をご自分でお出しいただける場合に限り大歓迎である。生物学的健全度をスポイルしない形での熱帯大規模人工林の持続的経営は,人類の生存圏を将来の世代に引き継ぐために不可欠なものであり,本研究の成果が地球全体の将来に大きく関わるものであると確信している。( )写真カッティエン国立公園の管理棟。という文字が見える。写真カッティエン国立公園の宿舎内の様子。蚊帳は必需品写真タンラップ植林地調査における食堂での朝食の様子。いろいろな種類の(フォー)があり,野菜を入れて食べる。