ブックタイトルしろありNo.154

ページ
46/56

このページは しろありNo.154 の電子ブックに掲載されている46ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

しろありNo.154

ブックを読む

Flash版でブックを開く

概要

しろありNo.154

両面テープで固定している部分には蟻道を構築していることである。すなわち,シロアリはこの材質のプラスチックに蟻道を物理的に作る能力があるが,ヒラヒラしている部分には生理的に作りたくないように見受けられる。効果の確認基礎に見立てたレンガと餌木の間にフィルム(ナイロン製, 厚)を挟み込んで,そのバリヤーとしての効果を検証した。ここで,ナイロンを用いたのは,オーストラリアの地下埋設電線で,食害を受けない材料として実績のある材料だからである。同時に実験したのは,ポリエチレンフィルム,アクリル板,ナイロンを貼り付けたアルミ板である。図にその途中経過の写真を示す。アクリル板は端部に回り込まれて餌木への侵入を許したことから,効果がないと判断した。ポリエチレンフィルムは中央付近を食い破られて餌木への侵入を許してしまったが,これは材質の問題であると判断した。また,ナイロンを貼り付けたアルミ板も侵入を許してしまった。これは,前述のようにシロアリがこの材質のプラスチックに蟻道を作る能力を有していることを示している。それに対して,ヒラヒラした状態のナイロンフィルムは実験終了時( 年半後)までバリヤーとして十分な効果があることが判明した。すなわち,バリヤーとして重要な点は材質ではなく,ヒラヒラしていることであると判断した。限界原理的にはヒラヒラしたフィルムでシロアリバリヤーを作ることは可能であり,実験室レベルでは十分な効果が実証された。しかし,実際の新築・既築家屋への適用はかなりの困難を伴うことが明らかになった。まず,基礎にフィルムを水平に張り巡らす方法(水平貼付型)についてである。この場合,入り隅の,接着力の弱い部分で接着層から突破されることが明らかになった(図)。実際の家屋では出隅,入り隅はもちろん,基礎部分にはコンクリートパネルの継ぎ目や気泡など接着力が弱くなる部分が非常に多い。このような部分からシロアリの侵入を許す可能性が高い。また, 枚の帯状フィルムで作る場合,入り隅部分でフィルムが折り曲げられることになるが,図に見られるように,しわの部分や折り目部分で囓られて穴が開く可能性が高い。次に,基礎と土台の間にフィルムを挟み込む方法についてである。帯状フィルムは出隅や入り隅など,( )図種々の材質のフィルムおよび板のサンドイッチ型バリヤーとしての効果の比較左上アクリル樹脂板右上ナイロンフィルム貼付アルミ板左下ポリエチレンフィルム右下ナイロンフィルム図入り隅接着層からの蟻道侵入の様子????????????????図フィルムのシワからの侵入