ブックタイトルしろありNo.155

ページ
12/52

このページは しろありNo.155 の電子ブックに掲載されている12ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

しろありNo.155

ブックを読む

Flash版でブックを開く

概要

しろありNo.155

( 9 )試料NO pH 値灰分(%) 炭素量(%) 窒素量(%) C/N 比含水率(%) 重量(g)1 4.95 18.98 37.14 1.02 36.41 49.3 120.32 4.65 14.43 38.71 1.34 28.89 43.3 223.33 4.25 15.43 37.86 1.24 30.53 44.1 148.14 4.21 18.49 38.34 1.05 36.51 49.4 1605 4.8 14.98 39.74 1.04 38.21 50 1,430表1 各菌園の分析値試料No.1:那覇市首里崎山  試料No.2:石垣市バンナ試料No.3:石垣市真栄里   試料No.4:竹富町古見試料No.5:竹富町船浦われる。灰分は14~18%で,灰分を除いた残りを有機物と考えると約80%が有機物で,かなりの量の植物体を外から持ち込み菌園を構築するのに用いている。炭素および窒素量は38%,1.0%でC/N 比は28~36である。このC/N 比はシイタケ等の最適成長比と同様でオオシロアリタケ菌糸も最適なC/N 比の菌園で成長し菌毬を形成している。タイワンシロアリはこれらを摂食することで窒素の一部を得ている12)。菌床の加水分解で得られる糖類はグルコース,キシロース,ガラクトース,アラビノース,ラムノース等であるがセルロース由来のグルコースが最も多かった。4. おわりに タイワンシロアリとオオシロアリタケは菌園をかいして共生関係にある。共生関係は群飛後有翅虫によって巣が創設され,菌糸の植え付けは雌雄の有翅虫の腸内に蓄えられている胞子であると思われるが,実験的な確証はまだない。分巣を作る時期や方法,どのような菌床からきのこが発生するのか明らかにされていない。今後,野外での調査を進め,タイワンシロアリとオオシロアリタケの共生関係を明らかにしたいと考えている。引用文献1)安部琢哉(1987):シロアリの生態,東京大学出版会,p.84-98.2)松本忠夫(1983):社会性昆虫の生態,シロアリとアリの生物学,培風館,p.119-126.3)今村祐嗣・角田邦夫・吉村 剛(2000):住まいとシロアリ 海青社 p.57-66.4)Heim, R.(1977):Termites et Champignons Soc.Nouvella des Edit. Boubee, Paris, p.1-250.5)大谷吉雄(1979):沖縄石垣島で採集したオオシロアリタケ,日菌報,20,195-202.6)Otani, Y. and D. Shimizu(1981):Termitomycesclypeatus Heim collected from Iriomote Island,Okinawa, Japan, Bull. Natn. Sci. Mus., Tokyo, Ser. B,7?,131-134.7)金城一彦・ポムカムナード・アヌチャー・宮城 健(2005):沖縄本島で採集したオオシロアリタケについて,日菌報,46,41-44.8)Vega, F.E. and M. Blakwell 編 梶村 恒・佐藤大樹・升屋勇人訳(2007):昆虫と菌類の関係- その生態と進化-,共立出版,p.237-260.9)大谷吉雄(1992):シロアリの栽培する菌類,しろあり,No.90,3-10.10)Ju, Y.M. and Hsieh, H.M.(2007):Xylaria speciesassociated with nest of Odontotermes formosanus inTaiwan, Mycologia 99?,936-957.11)板倉修司(2003):シロアリ―微生物共生系における新しい展開,木材保存 Vol 29 42-52.12)Matsumoto, T.(1976):The role of termite in anequatorial rain forest ecosystem of wet Malaysia. Ⅰ.  Populatin density, biomass, carbon, nitrogen andcalorific content and respiration rate, Oecologia, 22,153-178.(琉球大学農学部 亜熱帯生物資源化学科・教授)