ブックタイトルしろありNo.155

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しろありNo.155

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しろありNo.155

( 11 )3. 結果と考察 まず,イエシロアリ職蟻の?ゆすり行動? を例に説明する。急な光刺激に対して,全個体の歩行速度が増加するとともに,特定の個体が?ゆすり行動?や?頭突き行動? を開始した。イエシロアリ職蟻は1秒間に15~20回の前後往復運動,つまり周波数として15~20 Hz の振動を2.2秒行い,これを繰り返した(図3)。イエシロアリ職蟻の体長は約5㎜であることから,体をゆり動かす距離は体長の10分の1程度ということになる。また,主として1秒間に15~20回の往復運動をすることから,最大10㎜ /s の速さで体を動かすことが明らかになった。 同様に,ネバダオオシロアリ,ヤマトシロアリ,アメリカカンザイシロアリの?ゆすり行動? における周波数および振動パターンを解析したところ,ヤマトシロアリでは振動周波数はイエシロアリと同程度であったが,頭部の最大変位量がイエシロアリでは約500?に対して,ヤマトシロアリは約100?であった。アメリカカンザイシロアリは1~2?程度の前後の振動行動が中心であった。ネバダオオシロアリは,10~25 ?の振動を0.7秒行い,これを1秒間隔で繰り返した(表)。このようにシロアリの種類により?ゆすり行動? における典型的な振動行動パターンが大きく異なることが明らかとなった。 ネバダオオシロアリにおける?頭突き行動?(図4)は,?ゆすり行動? と同様に15 ~ 20Hz の振動を繰り返した。頭部の最大移動距離は?頭突き行動? の方が?ゆすり行動? の約5倍大きく,?頭突き行動?の方がシロアリが消費するエネルギーが大きいことが示唆された。移動距離は?頭突き行動? では行動開始時には小さく,その後最大値を取ったあと小さくなるが,?ゆすり行動? では行動開始時に大きく,図2 ? ?ゆすり行動?, ? ?頭突き行動? の計測図3 イエシロアリの「ゆすり行動」パターン表 各シロアリ種の「ゆすり行動」比較シロアリ種体長(㎜) 変位量(㎜) 主周波数(?)職蟻兵蟻職蟻兵蟻職蟻兵蟻ヤマトシロアリ4.0 5.0 0.1 0.5 15~20 15~20イエシロアリ5.0 6.0 0.5 0.7 15~20 15~20アメリカカンザイシロアリ5.0 6.0 0.3 0.2 1.5 1.0ネバダオオシロアリ15.0 18.0 1.0 ― 15~20 ―