ブックタイトルしろありNo.155

ページ
29/52

このページは しろありNo.155 の電子ブックに掲載されている29ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

しろありNo.155

ブックを読む

Flash版でブックを開く

概要

しろありNo.155

?研究発表会?築165年禅寺本堂解体時の全部材の蟻害・腐朽仕分けによる実態調査―愛媛県南予S市地区の事例として―三  好  廣  通 ( 26 )しろあり No. 155, pp.26―31. 2011年1月1. はじめに 全国大会に研究発表することになった経緯について,今回本堂を改築のため解体決定になり寺名を伏せることを条件に,調査研究の許可をもらいました。解体した部材は建築会社で下記大別された。 ? 再生可能の部材  ? 腐朽・蟻害の被害材 被害程度別に?を4ブロックに仕分けされた。①中被害ブロック②大被害ブロック③大大被害ブロック④廃棄材ブロック,当社は①②の被害材の内容を再検査して利用できるものがないか調べた。 その結果①~④すべてが廃棄されることに決定され,当社で破壊・目視の検査ができることになった。 2. 検査結果の概要 (写真10,11,12,13)   松材の検査に絞って調査し,当社で下記大別した。? 部材別被害  ① 梁   大被害 30%  中被害55%  ② 桁   大被害 15%  ③ 鴨居  大被害 20%  ④ 大引  大大被害15%  大被害20%? 虫害・腐朽別被害順位(大きいものから)  クロタマムシ,シバンムシ,腐朽,ヤマトシロアリ虫害はすべて旧害でした(シバンムシを除く)。腐朽は虫害後の2次被害ではないかと考える。? 当初予想より,被害が質量ともに少なく思った。被害図の番号が,建物の北と東に集中しているのは,北側の倉庫付近の雨じまいと排水状態が悪く,また東側の外壁,回り廊下,戸廻りの雨じまいも悪いことが影響したと思われる。? 大引の被害が最も大きいことは,床下の湿度が高く建物周囲の排水も悪く,樋がなく,風雨が建物の外壁に吹付け床下の被害につながったものと考える。? この度の調査で一番注目していたこと。  ① 解体でないと確認できない被害の内部  ② 古い松材の松脂が被害を防止している状況  ③ 昔の松材のクロタマムシの生息加害状況写真1 本堂正面(解体前)図1 本堂平面図番号は,被害写真番号