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しろありNo.156

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概要

しろありNo.156

( 5 )れかになる可能性が考えられた。また,非忌避性を示した薬剤の原体はベイト剤など他の用途へのアリ用製剤への利用が望まれた。3.2 シロアリ用薬剤汚染ワラジムシ死骸喫食の影響 供試薬剤に瞬間浸漬処理したワラジムシはすべて24時間以内に死亡し,処理死骸として供試することができた。投入後の死亡個体数を表3に,5日後の喫食状況を表4に示した。ワラジムシは対照区の無処理死骸をよく喫食し,死亡しなかった。ビフェントリン処理死骸に食跡は認められず,死骸の喫食はなかったが,雌が2日目に,雄が1日目に全個体が死亡した。それとは逆に,他の供試薬剤を処理した死骸に食痕が認められたにもかかわらず,いずれも5日後の死亡率は低かった。特にチアメトキサムとシラフルオフェンは雄で処理死骸の喫食程度が対照の無処理死骸のそれに近づいていた。ワラジムシに対してビフェントリンは大きな影響を与えたが,実験に用いた他の薬剤は処理死骸を喫食してもほとんど死亡しないことがわかった。4. ま と め シロアリ用薬剤の施用が土表徘徊動物であるトビイロケアリ,クロクサアリのアリ2種とワラジムシに対する影響を調べた。2種のアリは北海道に生息するヤマトシロアリ同様に,古木や古損木に営巣し,ワラジムシは札幌市内の家屋周辺に普通に見られる陸生甲殻類である。2種のアリはピレスロイド系ビフェントリン0.1%濃度希釈液の残渣面に接触せずともパニック状態となり死亡した。同様にビフェントリン汚染ワラジムシ死骸を喫食しなくともワラジムシ生体はそれに接近するだけで死亡した。したがって,ビフェントリンの家屋での施用によって,これらの土表徘徊動物の生態を大いに混乱させる可能性が考えられた。ネオニコチノイド系チアメトキサム,イミダクロプリド,クロチアニジンに対して,2種のアリは残渣面に接触して24時間後に100%死亡に至らなかった。また非忌避性を示したことから,これらの薬剤施用範囲への営巣などの滞留によって,アリ2種対して時間経過とともに影響を与えると思われた。ネオニコチノイド系3薬剤の汚染死骸を喫食したワラジムシの死亡率は低くかった。しかし,希釈液に浸漬したワラジムシは24時間以内に死亡するので,ワラジムシへの直接散布は影響あると表3 殺虫剤汚染死骸を与えたワラジムシの経日的死亡数*実験用汚染死骸**投与後の経過日数 5日後の死亡率1日後2日後3日後4日後5日後(%)供試薬剤♀ ♂ 計♀ ♂ 計♀ ♂ 計♀ ♂ 計♀ ♂ 計♀ ♂ 計チアメトキサム0 0 0 0 0 0 2 0 2 1 0 1 2 1 3 4 2 3イミダクロプリド0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 1 1 1 1 2 2 2 2クロチアニジン0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 2 1 2 3 2 4 3ビフェントリン42 50 92 50 50 100 50 50 100 50 50 100 50 50 100 100 100 100シラフルオフェン1 3 4 3 3 6 3 3 6 7 3 10 9 4 13 18 8 13対照*** 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0*   10個体5反復の合計**  供試薬剤の水による所定希釈液にワラジムシ生体を瞬間浸漬させ,24時間後に死亡を確認したもの*** 飼育中に死亡した同性の死骸表4 ワラジムシの汚染死骸の喫食状況:5 反復実験用汚染死骸*喫食量の程度にともなう反復数**雌雄供試薬剤- + 2+ 3+ - + 2+ 3+チアメトキサム0 3 1 1 0 1 4 0イミダクロプリド3 2 0 0 1 1 2 1クロチアニジン0 3 1 1 2 3 0 0ビフェントリン4 1 0 0 5 0 0 0シラフルオフェン1 0 3 1 0 0 5 0対照*** 0 0 2 3 0 0 0 5*   供試薬剤の水による所定希釈液にワラジムシ生体を瞬間浸漬させ,24時間後に死亡を確認したもの**  喫食量 -:食痕跡がない,+ :触角や脚を食べた,2+:体の一部を食べた,3+: ほとんど食べた*** 飼育中に死亡した同性の死骸