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しろありNo.157

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概要

しろありNo.157

6. 開園後の防蟻対策 平成4年に開園した首里城公園(国営公園)では,平成9年には防蟻処理の保証期間が終了したため,翌年の平成10年から私の所属している?沖縄県白蟻防除事業協同組合? は首里城管理財団から今日まで継続して?白蟻防除等業務? として,白蟻防除の管理を請けている。内容は,国営公園と県営公園を含めた公園区域,すなわち?首里城公園? 内の全ての建築物である。施工の方法は?薬剤散布? と?管理型ベイト工法? との併用である。管理型では,毎月の点検報告を国用と県用に分けて2部提出し,薬剤散布は年3回である。散布処理のたびに薬剤散布報告書として同様に2部提出するよう義務づけられている。首里地区はイエ・ヤマト両白蟻の生息が盛んで,?防除処理業務? を管理財団から請けた当初は公園全体に両方の白蟻の生息を確認していたが,この頃では公園内でまれに確認するぐらいである。やはり?管理型防除処理? を併用した効果が表われてきたのかもしれないと思うこのごろである。7. 首里城公園の整備 平成4年に開園した首里城公園は,復帰20周年に合わせて開園したので,完全に整備を終えた訳ではない。平成4年以降も内壁の城壁整備等をしつつ,建物の復元を行ってきた。とくに平成18年の書院・鎖之間の復元は完全木造で復元された。 首里城公園は現在でも正殿後方は未開園地区となっているが,今後あと数棟が復元される予定である(図3)。?はじめに? の部分に図示(図1)しているように,開園当初と見比べてみれば?首里城公園? が20年の間に如何ほど整備されてきたのかが理解できるのではないだろうか。 さて,首里城公園の整備計画もあと数年で完結するのであるが,県ではその後のことを考慮して旧中城御殿(元県立博物館跡地であるが元来は日本でいうところの東宮御所にあたる)の復元を予定している。この建物も正殿に次ぐ大規模建築物といえる。これらの整備計画が終えようとも,我々の防除処理業務がなくなる訳ではなく,今後とも白蟻から建築物を防ぐためにも,私たちは将来に亙って技術の研鑽に努めていかなければならないだろうし,新たな施工方法をも研究しなければならない。このことが伝統的文化遺産を守る基本的姿勢である。勿論,私たちだけ(白蟻業者)で護れるわけはないので他の専門的業種の補助も必要である。( 31 )図2 当時毎月提出していた数量表(一部)図3 現在復元された首里城公園 各建物の配置図8. 現在の保全管理業務 首里地区は那覇市の高台にあり,湿気が強い所である。したがって首里城内建築物を建築して数年もたたずに藻・カビ・腐朽菌が発生する傾向にあっ