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しろありNo.157

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しろありNo.157

( 32 )た。管理財団としてもこの藻・カビ・腐朽菌の発生については最も懸念をしているところでもあり,数年も前からこの件については,私に解決方法を投げかけられていた。 しかし,何らの解決方法も見えないまま,平成18年には正殿の漆の塗り替え工事が始まり,4年を架けて昨年の平成21年度に正殿全体の漆塗りが完了した。具体的内容としては,紫外線と湿気が強い事で漆にカビが発生しペンキと同様に?チョウキング現象? が発生し,漆自体も剥離減少が起きたことから塗り替えが行われたのである。これも私に問題を投げかけられていたにもかかわらず,放置していた事も一因があったと考え,そこで,私自身一念発起しメーカー側に提案した上で,この2年前から現在まで管理財団との協議で防蟻剤(木部処理剤)に防藻剤と防カビ剤を含めた暴露試験・漆に防カビ剤を含めて防カビの暴露試験を行っているところである。また,毎年の管理業務の中には,毎年1回木造建築である首里城内建築物のクサビの緩み直し業務もあり,これは毎年大風が沖縄県には襲来するので建物が揺れることにもよるものである。 更に開園20年も経過すると建築物にも傷みが生じ,特に正殿の外側柱の傷みがひどくなり,一部の柱の取替え工事(継木)が平成20年には行われています。現在は?北殿? の外壁及び柱の継木工事が行われており(写真1),今後,他の建築物も腐れ・腐朽がみられるので同様に修復工事が行われるのは当然なのであり,今後とも補修工事が行われるたびに,私たちへも防蟻処理に関してお呼びがかかると写真1 北殿の外壁工事の様子思われる。沖縄は日本の南に位置し,白蟻の多発地帯でもあり,たかが防蟻処理業者ではありますが,世界的財産である首里城を守っているのは私たち?防蟻処理業者? なのである。9. おわりに これまで首里城の復元工事(特に防蟻処理)に携わってきた。伝統的建築様式と最新の白蟻防除技術をどう取り込んで生かせることができるのか。私としては今後にも興味が尽きない。防蟻は勿論,防藻・防カビなどと幾つもの難題は提案される。しかし難題であるからこそ,これまでの培ってきた施工方法を含めて新たな発想で提案するのも一つの方法であり,今後は白蟻防除技術と併用した,新たな問題との可能性を模索していきたいものである。(住宅ケンコウ社沖縄)