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しろありNo.158

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しろありNo.158

( 24 )しろあり No. 158, PP.24―28. 2012 年7月<報 文>改正水質汚濁防止法と白蟻薬剤による事故報告,および対応廣  瀬  博  宣1.はじめに しろあり機関誌157号に,「白蟻薬剤による宮崎県延岡市・串間市の地下水汚染報告(30年目の真実)」1)を寄稿した。昭和57年から昭和62年の間に4件白蟻薬剤による事故が発生し,地域の住民に迷惑を掛け社会問題となった。また,白蟻薬剤による地下水汚染は,施工家屋だけでなく下流側の広範囲に汚染が拡大し,除染もできず汚染は数年間持続することを報告した。今回は,昨年改正された水質汚濁防止法の内容と,その改正に関連した白蟻薬剤(クロルピリホス)による事故事例を報告する。水質汚濁防止法の改正趣旨を理解し,業界が現在の施工を今一度見直し,白蟻薬剤による環境汚染防止に努めることを期待する。2.水質事故の現状 公共用水域における水質事故は増加傾向にあり2),化学物質の河川流出は,住民に大きな被害を及ぼす。最近の事例として,平成24年5月17日に発生した利根川水系におけるホルムアルデヒド汚染事故は,浄水場の取水中止,水道の断水など住民に大きな影響を与えた。平成23年2月に開かれた排水規制等専門委員会での国土交通省資料によれば,全国の一級河川水系における油類や化学物質の流出等による水質事故は最近10年間に約3倍と増加している。原因判明率は全体で50%程度であり,特に魚のへい死の原因判明率が低い状況にある。現状の改善として,水質事故低減が急務であり,事故原因の究明と再発防止などの施策を求めている。最近の原因不明とされた魚のへい死事故(魚の大量死)1)平成23年6月 石川県金沢市浅野川でアユ1万匹へい死事故発生2)平成24年1月 群馬県館林市多々良沼,多々良川でヘラブナ,マブナ数百匹へい死事故発生3.改正水質汚濁防止法について3) 平成23年4月1日に水質汚濁防止法が改正施行された。従来,工場・事業場などからの排水を規制対象としてきたが,本改正により,工場等の排水規制とはなってないが,人・環境に被害を与える恐れがある物質を指定物質として新たに追加指定した。指定物質を取り扱う事業場(建築現場・住宅も含む)から,指定物質を含む汚水が流出・地下浸透した場合,流出防止の応急措置を実施するとともに,事故の状況などを都道府県長に届けなければならないとした。 規制対象物質26種(有害物質)→78種に拡大(有害物質+指定物質)4.水質汚濁防止法と業界の関わり 改正水質汚濁防止法により,白蟻薬剤成分クロルデンとクロルピリホスが過去に事故があった物質として指定物質に指定された。業界は,同法の改正趣旨を汲み取り,クロルデンとクロルピリホスの事故内容と原因を究明し,同様の汚染事故防止に努めなければならない。平成24年6月には水質汚濁防止法がさらに改正され,地下水汚染の未然防止として,クリーニング業界など様々な業界が,タンクの二重化,床の防水処理などの対応を求められている。白蟻防除工事においても,今まで以上に河川への流出,地下水への浸透などの汚染防止に努めなければならない。5.白蟻薬剤による過去の環境汚染事例 白蟻薬剤クロルデンおよびクロルピリホスによる過去の環境汚染事例を以下に示す。