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しろありNo.159

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概要

しろありNo.159

TERMITE JOURNAL 2013.1 No.159 13個の試験体を設置し, 26 ℃の暗室にて8週間腐朽させた。 試験体を回収後, 一晩風乾させた後, 60 ℃で48時間乾燥させ, 腐朽後の質量を測定した。 なお, 対象として白色腐朽菌カワラタケ(Trametesversicolor), 褐色腐朽菌オオウズラタケ(Fomitopsispalustris)を用いた。ともにJIS K 1571-2010 で指定されている菌株である。3.結果と考察3.1 干草煎汁培地におけるK2HPO4添加の有効性 5菌株すべてでK2HPO4を添加したHA-a培地より,添加しなかったHA-b培地のほうがコロニーは大きく成長した。しかし, 成長速度のt 検定(p <0.05)では,どの菌株も有意な差はなかった(図1)。 2種類の培地における成長で有意な差が認められなかったことは, オオシロアリタケにとってHAに対しK2HPO4を添加することが特に有効ではなかったことを示唆しているようである。 菌園に供給される培養基はシロアリによって水溶性の栄養分が吸収された後のものであると考えられ, 菌園は栄養塩の濃度が低い環境である可能性がある。オオシロアリタケは低リンの環境で生育していると推察され, オオシロアリタケは干草から溶出したリン酸のみで十分成長可能であり, かえって過剰なリンは成長を抑制する可能性があるのではないかと考えている。図1  2種類のHA培地における各菌株の成長。 エラーバーは標準偏差を示す。