ブックタイトルしろありNo.159

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しろありNo.159

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概要

しろありNo.159

TERMITE JOURNAL 2013.1 No.159 1報 文Reports1.諸言 世界的な家屋の大害虫であるシロアリ1)は, 家屋をその被害から守るため様々な観点から研究が進んでいるが, 感覚生理の分野における研究報告は多くない。シロアリの行動およびその行動を誘発する化学刺激を電気生理学的, および行動学的手法にて探索し, 害虫防除の新たなアプローチへとつなげることを視野に, その第一段階として, イエシロアリCoptotermes formosanusの触角上感覚子を外部形態より分類しその機能を推定したので, これを報告する。2.材料と方法2.1 供試虫 実験には福岡県福岡市で採取し, 枯死したクロマツPinus thunbergii の木質部を飼料として25℃で室内飼育を行ったイエシロアリの職蟻を用いた。2.2 走査型電子顕微鏡によるイエシロアリ触角上感覚子の観察 イエシロアリ職蟻を70 %アセトンおよび4%(v/v)オスミック酸にて固定する。その後, 供試虫を70%アセトン中に一晩浸漬した後, 4%(v/v)オスミック酸にて2時間固定する。その後, アセトンにて段階的に脱水を行い, 34 ℃インキュベータ内にて風乾, 白金パラジウムで蒸着した。感覚子の観察は, 走査型電子顕微鏡(日立S-4100SEM)にて行った。3.結果 イエシロアリ職蟻の触角は, 全長およそ1500μm, 基部の直径およそ100μmで先端の直径はおよそ40μmであった。形状は数珠状で, 柄節, 梗節および成長段階に応じて11 ~ 15節からなる鞭節によって構成される(図1)。触角上感覚子は, その外部形態から10種類に分類した。柄節および梗節には感覚子は少なく, 鞭節には多数の感覚子が存在する。各節におけるおよそのシロアリが触角上感覚子器官から受け取る外部情報を推定する-イエシロアリ職蟻触角上に存在する感覚子にはどのようなものがあるか-京都大学生存圏研究所 柳川 綾数を表1に示す。以下にその特徴及び推定される機能について述べる。長さ表記は, 小数点第2位を四捨五入したものとする。図1 イエシロアリの触角3.1 棘状感覚子Ⅰ 全長60-70μm, 基部の直径2.7-3.0μmおよび先端の直径105-330nmで, 触角表面から円形状に隆起したソケットと呼ばれる構造を持つ。クチクラ装置の基部から先端まで縦に溝があり(図2), 先端に孔は認められない。ソケット及びクチクラの形状より, 機械感覚毛と推定される。鞭節上に存在する。