ブックタイトルしろありNo.159

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しろありNo.159

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概要

しろありNo.159

4られない。クチクラ装置の基部が中間部より細い。側面の構造から, 揮発性物質を受容する化学感覚毛と推定される。鞭節上に存在する。3.7 茸状感覚子 全長約5μm, 基部の直径2.8μmおよび先端の直径は500nm以下で, 触角表面がわずかに窪み, クチクラ装置に連続的に移行している。側面は滑らかで, 先端に帽子状の構造がある。全体の構造から温湿度感覚毛と推定される。鞭節上に存在する。3.8 鐘状感覚子 基部の直径約6μmで, 触角表面に円形の隆起構造を持ち, その中央からクチクラ装置が立ち上がる。円形の膨らみとクチクラ装置は連続的に移行している(図8)。全体の構造から機械感覚毛と推定される。触角全体に存在する。3.9 ボタン状感覚子 直径約3μmで触角表面に円形の窪みを持ち, その中央からドーム状のクチクラ装置が立ち上がる。高さはおよそ1μmである。鞭節の節遠位部位に位置し,触角表面の窪みから隆起したクチクラ装置(図8)。表面は滑らかである。全体の構造から機械感覚毛と推定される。鞭節上に存在する。3.10 周辺感覚子A 全長3μmおよび基部の直径2μmで, 表面は滑らかである(図9)。鞭節の節遠位部位に位置することから, 機械感覚毛あるいは節目におけるクッション構造と推定される。感覚子であるかどうかは断面図にて確認する必要がある。3.11 周辺感覚子B 基部の直径2.5μmで, 高さ1μmで, 鞭節の節遠位部位に多く位置することから, 機械感覚毛あるいは節目におけるクッション構造と推定される(図9)。感覚子であるかどうかは断面図にて確認する必要がある。4.まとめ イエシロアリ 触角上感覚子を外部形態より9種類に分類し, さらに2つの周辺感覚子様クチクラ装置を認めた。感覚子の触角上における分布には規則性が認められた(図10)。 イエシロアリ職蟻では複眼が未発達で, 一般に視覚的刺激を感知する能力はないとされる2)。しかし, 一方で超個体と言い表される体系だった行動をとることも知られており, 社会性昆虫の中でも社会性のレベルは高い3)。彼らが外部情報を受け取る仕組みについては未だ報告は少なく, シロアリの生態については未解明の点が多い。このため, 基礎研究で生理学的な研究を行うことで, これまで知られてこなかった新しい事実が明らかになる可能性は高く, これらの研究成果がシロアリに防除に持つ意義は大きい。 これまで, 触角における感覚子の外部形態についてはいくつかの報告がある4-6) が, 触角上の全感覚子を網羅した報告はなく, 全体的な像が結びにくい。昆虫の感覚子は, 既存の調査により, 外部形態からある程度の機能を推定することが可能であることがわかっている7)。本調査のもっとも特筆すべき結果は, イエシロアリに図8 鐘状感覚子およびボタン状感覚子図9 周辺感覚子AおよびB