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しろありNo.160

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しろありNo.160

Termi te Journal 2013.7 No.160 25写真10 E2柱脚部の床下(漏水により鉄枠が腐食)写真11 E8柱脚部の屋外(コンクリートに亀裂)5)金具の錆:柱脚部はボックス金具に収納されているが, この金具には錆が発生していた。その様子は床下から観察したときにはっきりと確認できる(写真10)。一部の箇所では, 錆の発生による膨張圧で周囲コンクリートが剥離していた。屋外から観察したときには, 金具がコンクリートで完全に覆われているので錆の様子は確認できなかったが, E8は被覆コンクリートに亀裂が発生していた(写真11)。現場の状況からみて, 錆の発生原因は結露ではなく漏水によるものと推定された。6.2 ピロディンによる二次診断の結果 柱の基部のピロディン診断の結果はすでに表1に示してある。前述のように, 全38本の柱のうち15本は健全であったので, それらは数値表示を省略した。ピロディン値は, 表層部の強度的な劣化レベルを示す指標であり, 数値が大きいほど強度劣化が著しい(つまり,残存強度が小さい)ことを示している。 実際の測定結果を見ると, 同じ柱の基部であっても位置によって数値は大きくばらついていた。このことは, 設置後18.5年が経過した現段階において表層部劣化は均一ではなく局所的に発生していることを示唆する。データの中に40㎜という値があるが, これは鋼製ピンが貫入限界に達し, 劣化が比較的深部まで進行したことを示す。全体を概観すると, D1, CD1, B1,A1(いずれも北側外周壁の柱)に貫入値40㎜を示す箇所が存在したが, それ以外の柱ではそのような箇所はなく「軽度の劣化」に留まっていた。 以上, 外周壁の柱のうち約60%の柱の基部に腐朽・蟻害の兆候が認められたが, ピロディンによる表層部診断の結果, 北の外周壁にある4本の柱を除き「比較的軽度の局所的劣化」に留まっていると判断された。6.3 レジストグラフによる二次診断の結果 レジストグラフ診断は1回の測定に約5分の時間を必要とする。したがって, 一次診断及びピロディン診断で異常の認められた箇所を優先的に診断した。1)西側外周壁: 柱の基部の診断結果を図2に示した。A4の内部に幅2㎝程度の劣化部, B10の内部に幅4.5㎝程度の劣化部が検出されたが, それ以外はほぼ健全であった。これらの柱は奥行きが30㎝あるので, 断面欠損率は最大でも15%と見積もられた。したがって, 西側の柱の劣化レベルは「ほぼ健全?中」に留まっていると判断された。 注) BC10.5柱は, 既述のように地際部に激しい腐朽を生じているが, これは造作柱(構造上は重要ではない柱)であるので, レジストグラフ診断を省略した。2)南側外周壁 柱の基部の診断結果を図3に示した。これらのチャートを見ると劣化は表層部に僅かに認められるだけで, 内部はほぼ健全であった。