ブックタイトルしろありNo.161

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概要

しろありNo.161

Termi te Journal 2014.1 No.161 23研究発表Research Presentationsシロアリ被害実態調査報告関東白蟻防除株式会社 南山 和也 このたび日本長期住宅メンテナンス有限責任事業組合において全国シロアリ被害実態調査を行なった。 サスティナブルな社会を目指す世の中において, 住宅の世界でも「フローからストックへ」の大きなうねりが起こっている。日本再生戦略の中でも良質な住宅ストックの供給と不動産流通システムの改革が謳われている。 木造住宅にとって耐久性を脅かす要因の一つに蟻害がある。建築基準法施行令第49条の2項にも「(中略)必要に応じて, しろありその他の虫による害を防ぐための措置を講じなければならない」とある。建築後一定期間を経過した木造住宅において「必要に応じて」を判断することは非常に困難である。たとえインスペクションを行なって蟻害のないことが確認できたとしても, 明日白蟻が侵入しないという根拠にはならない。確実に蟻害を防ぐには(公社)日本しろあり対策協会制定の防除施工標準仕様書に基づいて施工を行う必要がある。 一方でインスペクションの結果によって一定の瑕疵担保責任を負えるシステムはあるものの, 蟻害は対象外となっている。そこで当組合では木造住宅を調査し,蟻害の有無と建物の様々な条件との相関を調べることで, 蟻害リスクを検証することにした。調査にあたって重要な点は, 統計上有意になるよう対象となる建物を全国からまんべんなくランダムに抽出することである。具体的には①白蟻防除の履歴がはっきりしており,②保証対象か否かがはっきりしていることを一つの条件として物件を抽出した。また出来る限り空白の都道府県が無くなるよう組合員以外にも協力を仰いだ。結果として5,000件余のデータが集まり本報告書に纏めることが出来た。本報告書が既存住宅の流通促進の一助になれば幸いである。 なお, 本事業は国交省の『平成24年度 既存住宅等に対応した住宅瑕疵担保責任保険の提供体制の整備事業を行う者に対する補助事業』として採択された。国交省公示(抜粋)【調査対象】 調査対象住宅は全国で5,000件以上とすることを目標とし, その構造は, 在来軸組工法を中心として, さらに枠組壁工法, 木造プレハブ工法(主としてパネル工法)による戸建て住宅も対象とした。調査は, 東北から九州までに所在する住宅を対象とした。北海道は蟻害があるがその頻度が低いこと, また沖縄は木造率が低いことなどから調査からは除外した。また, 調査員の分布から上記の地域にあっても調査できなかった県もあった(青森, 山形, 山梨, 岡山, 高知の5県)。本事業は, 既存住宅の購入者やリフォーム工事の発注者等が安心できる中古住宅流通・リフォーム市場の環境整備に向けて, 消費者等のニーズが高く,また政策的意義の高い保険商品であるものの, 保険検査技術が確立していない等によりリスクが高いため開発が進んでいない保険商品があることから,本事業の実施により保険商品の開発を促進し, 消費者が安心して中古住宅の購入や, リフォーム工事の発注をできる環境整備を行うことを目的とします。瑕疵保険の商品開発の促進に資する取組として, シロアリの検出を行うために必要となるデータの収集・分析を行う事業を対象とします。【調査対象区分】データ区分区分基準目標標本数A(全体の50%)防蟻処理保証切れで, 再施工せず,一定期間経過(放置)した物件2,500件B(全体の25%)防蟻処理保証期間内の物件(新築予防保証, 既存予防保証, 駆除保証など)1,250件C(全体の25%)過去6年以内に行った駆除履歴のある物件(追跡調査) 1,250件