ブックタイトルしろありNo.161

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概要

しろありNo.161

Termi te Journal 2014.1 No.161 41表5 被害家屋の被害発生時の築年数被害発生築年数発生件数~5年2~ 10年16~ 20年25~ 30年2330年超23合計899.まとめ 住宅展のアンケート結果から, 鹿児島県のシロアリ被害率が判明した。 表3の一戸建て持家の築年数別シロアリ被害率では, 築20年で10%, 築30年で16%, 築30年以上で35%, 全体平均で13%と, 鹿児島県はシロアリの被害がまだまだ高いことが判った。その中でも, 築30年以上の建物の被害率は35%とシロアリ被害が特に多い。これらの建物は, 昭和60年以前の建物で, 床下は土壌が剥きだしのため, シロアリが侵入し易い構造が原因と判断される。 表4の被害家屋の被害発生年代では, 西暦2000年代(平成12年代)の被害が55件と多い。原因として, 平成の初めは有機リン系薬剤で施工しており, 有機リン系薬剤は揮散し易く, 有効成分の消失が早かったため,シロアリ被害が増加したと判断される。 表5の被害家屋の被害発生築年数からは, 築5年から築10年にかけて徐々にシロアリ被害が発生し, 築10年を経過するとシロアリ被害が増加することが伺われる。新築時の薬剤成分の消失, ウッドデッキ, 植栽の追加など建物周りの環境悪化, 雨漏り・水漏れなど建物の劣化などが原因と思われる。 図3では, 被害率が, 昭和27年, 平成13年, 平成25年と次第に減少した傾向が判る。また, 平成25年の被害率傾向では, 築30年までの発生率が少ないことが判る。この被害率低下の要素として次に示す建築構造の変更が考えられる。1)ベタ基礎の普及2)外壁の通気構造の採用3)外壁の窯業サイディング採用4)ユニットバスの採用 これらの建築構造の変更は, ヤマトシロアリの被害低減に特に影響したと推定される。ただし, これらの建築構造の変更は, 地域によってばらつきがある。首都圏のモルタル塗りのシェアは15.2%で, 全国のシェア7.1%の2倍に達している。また, モルタル壁を用いた住宅は, サイディング張りの住宅より雨漏り発生率が高いとの報告がある。3) 一方, 鹿児島県では, モルタル壁は少なく, 外壁の窯業サイディング採用, ユニットバスの採用, ベタ基礎の採用が, ヤマトシロアリ被害減少につながったと判断している。 今回判明した, 鹿児島県のシロアリ被害率から, 鹿児島県ではイエシロアリの生息が多く, シロアリ被害が多々発生していることが判る。建物を長く維持するためには, 新築時のシロアリ予防処理だけでは不十分であり, 築10年以上経過した建物は, 定期的にシロアリ予防を行うことが望まれる。 最後に, 鹿児島でのアンケート調査と同様の調査が各地で行われ, 各地域で現在のシロアリ被害率が把握され, 適切なシロアリ対策が行われることを期待したい。引用文献1) 西村隣太郎 (2012):かごしま住まいと建築展での広報活動紹介, しろあり, 157, P38-44.2)福島正人(1972):しろありと住居, P85-99.3) 池谷和浩(2013):塗り壁の漏水事故, 大都市圏で突出, 日経ホームビルダー, 2014年1月号, P24-26図3 鹿児島県のシロアリ被害率推移????????????????????????