ブックタイトルしろありNo.162

ページ
36/62

このページは しろありNo.162 の電子ブックに掲載されている36ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

しろありNo.162

Termi te Journal 2014.7 No.162 33研究トピックスResearch Topicsイエシロアリの脳内アミン測定によるストレス定量の試み京都大学生存圏研究所 平田 一紘1. はじめに ストレス応答は, 生物試験をおこなう際, 外部からは観察することのできない生体の状態変化を捉えることのできる重要な要素である。実験は総じて被験体に多かれ少なかれ負荷がかかるため, より正確な実験考察をしようとするならば, ストレスによる状態変化を実験結果に加味する必要がある。多くの昆虫においてストレス応答の研究報告がなされているが1), シロアリについてはストレス応答の研究報告が存在しない。 本研究ではストレスによってよく変動すると言われる脳内物質の内, ドーパミンとオクトパミンを対象として2)LC/MS(Liquid Chromatography MassSpectrometry)を使用したシロアリ用の定量メソッドを検討した。また, ストレス処理前後のアミン量変化を数値化することを目標とし, 比較のため複数種のストレス源(ストレッサー)を用意した。2. 実験方法2-1. 供試虫 京都大学生存圏研究所・居住圏劣化生物飼育棟・シロアリ飼育室よりイエシロアリ(Coptotermesformosanus Shiraki)を採取した。飼育時点では職蟻と兵蟻が混在する状態を維持し, サンプル化の際に職蟻のみを選択して使用した。2-2. HPLCサンプル調製 液体窒素を使用して生命活動を停止させ, 解剖して脳を摘出した( 図1)。内部標準物質3, 4図1 イエシロアリより摘出された脳-Dihydrobenzylamineとエタノールに混合し, 破砕し,沈殿と遠心分離による除蛋白を経て分析用サンプルとした。2-3. ストレッサー ストレスによるアミン組成変化を分析・比較するため, 解剖前の供試虫にストレス処理をおこなった。物理刺激, 栄養遮断, ケミカルコミュニケーションの阻害, とそれぞれ違ったアプローチをおこなうストレッサーを選出した。・物理的ストレス:振動(1500rpm, 15min)・栄養ストレス:飢餓(水のみで飼育, 7日間)・化学ストレス:隔離(1頭のみ飼育, 7日間)3. LC/MS分析メソッド LCMS-2010A(Shimadzu)を使用する際の分析情報を記す。 図2に2種化合物と内部標準物質のクロマトグラムの例を, 図3に検量線作成の例を示す。Oven temp:40℃Injection vol:1μlMass range:m/z 50 ?500Ionization:ElectrosprayCapillary volt:1.7kVDrying gas:N2(1.5L/min, 250℃)Mode:scan/SIMColumn: Scherzo SM-C18(100×2mm)3μmMobile phase A: 5mMギ酸アンモニウム-ギ酸緩衝液(pH4.5)Mobile phase B: 50mMギ酸アンモニウム-ギ酸緩衝液(pH4.5)75%+MeOH25%