ブックタイトルしろありNo.162

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概要

しろありNo.162

2 T e r m i t e J o u r n a l 2 0 1 4 . 7 N o . 1 6 2区域を床下としたため, 被害の有無にとどめた。 以下に調査所見を簡単に記載する。記載内容は, 報告書を基にした。(1)本殿・石の間・拝殿 本殿部分については, 床下へ侵入することができた。通気もよく湿気状態は良好であった。過去の消毒の跡(木栓)等は多数みられた。石の間と隣接している階段部分には, 古いシロアリの被害もみられた。また, ゴキブリの糞もみられた。 石の間部分については, 床下がなく, 侵入することができないが, 外部から(雨樋から)の雨水の浸入による腐朽が内部まで到達している(写真1)。 拝殿部分については, 階段下の通気が非常に悪く,腐朽がかなり進んでいるところがある。古いシロアリの被害も見られた。 本殿・石の間・拝殿は, 全体的に土台が直接地面と接触している箇所が多く, 過去のシロアリの被害もみられるため, 今後定期的な調査, 予防が必要である。(2)神庫 床下への入り口には鍵がかかっており, 解錠できないため, 手を入れて撮影した。撮影したものを見る限り, 進行中の被害はみられない。 建物外部は漆を塗って手入れをしており, 表面上の腐朽などはみられないが, 内部はどのようになっているか不明である。裏側の漆の塗っていない箇所には,シバンムシ等の食害が多くみられる。 いたるところに残材が放置されている状態で, シロアリの被害もみられた。残材は早急に撤去する必要がある(写真2)。(3)神楽殿 床下は以前消毒をしており, その当時のシロアリの被害と思われるものがあるが, 束柱などは修復・補強処理が施してあるので, 現在進行している被害等はない(写真3)。 床下4面で含水率を調べたが, いずれも20%以下の数値を示しており, 乾燥しているといえる。 大引き等についている金具が錆びているのが気になる。 神庫同様, 外周の残材は撤去が必要である。(4)日枝神社 床下には入れず, 一部しか撮影できないため, 床下に関してはなんとも言えない状態である。 外周部分は, シバンムシの被害がみられるが, それほど酷いものではない。それ以上に, 柱等に亀裂が多くあるため, 雨水, シロアリ等の浸入・侵入を防ぐためにも補修が必要かと思われる(写真4)。写真1 石の間内側の雨水による腐朽写真2 神庫の外壁に残材が放置されている状況写真3 神楽殿の消毒跡