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概要

しろありNo.163

Termi te Journal 2015.1 No.163 13屋根 屋根は12㎝角のたるきを90㎝間隔に配置して, その上下に30㎜の厚板を張って, 間に空気層を確保している。たるきの下の板は天井仕上を兼ねている。断熱材を入れる場合もその上に空気層を確保する。面戸の上端に数㎜の隙間をとってたるきの間に通気を確保して屋根裏結露を防ぐ。その隙間には防虫ネットを張る。軒の出は90㎝を基本として, 縁側等を設ける場合は出し桁造りとして180㎝以上出すこともある。この深い軒の出によって, 壁や開口部へ雨がかりをできるだけ防ぐ。壁 板倉構造の本体である落し板壁と竪板張りの上に, 板張りまたは左官仕上による塗り壁を施して, 雨仕舞いするとともに, 板の劣化を防ぐ。大壁と真壁の2通りの方法があるが, 真壁は軒に守られる部分に限ることが原則となる。寒冷地で断熱材を入れる場合は大壁の板張りが原則となる。この場合断熱材の外側に透湿防水紙を張ってその外側に空気層を確保する。 外壁を板張りとする場合は, 厚さ12㎜以上のスギを用いるが, 軒の出を確保することを前提として, 塗装は施さない, 台風の常襲する地域では焼きスギ板張りとする。これで30年程度の耐久性は十分に期待できる。 以上のように板倉構法は, 室内は構造材と厚板がむき出しの真壁構造で, 木材の持つ優れた特性を生かすとともに, 結露を防ぎ, 仮に雨漏りや結露が発生した場合も内部に表れているので, 速やかに除去あるいは乾燥することで木材に湿気が滞留することを防ぐことができる。また屋根の内側や壁内の結露は, 木材が厚く調湿性が高いことと通気性を確保することで防ぐことができる。木材を太く厚く表すことが生物劣化を防ぐ意味でも基本となっているのである。その場合木材の乾燥を自然乾燥を基本として, 高温乾燥によって樹脂や抗菌性物質が抜けたKD材の使用は避けなければ100年の耐久性は難しいことになる。(写真5)(写真6)(写真7)(写真8)写真5 板倉構法の本体構造内部写真7 板倉の家外観 外壁は焼きスギ板張り写真6 板倉構法の土台まわりと外壁下地    この上に透湿防水紙を張って焼きスギ板張り仕上げとする写真8 板倉の家 内部