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概要

しろありNo.163

34 T e r m i t e J o u r n a l 2 0 1 5 . 1 N o . 1 6 34.試験B 三種比較試験 ホウ酸塩処理材, ピレスロイド処理材, 無処理材について, イエシロアリ営巣を用いた食害試験を行った。1)試験実施日  平成26年8月18日から9月21日まで  (34日間)2)試験場所  廣瀬産業株式会社 シロアリ飼育室3)使用薬剤  次の2薬剤を用い食害試験を行った。  ①ホウ酸塩製剤(日本木材保存協会認定薬剤)  ②ピレスロイド系薬剤(白対協認定 予防駆除剤)   有効成分:ペルメトリン4)試験用木材  切妻屋根住宅を模したベイツガの木片  寸法 200mm×85mm×高さ110mm5)薬剤処理方法    規定濃度の薬剤処理液を容器に用意し, 現場で行う吹付処理を想定し処理ムラを無くすため10分間の浸漬処理を行った。処理後, 算木上で液垂れを行い, 扇風機で乾燥させた。6)使用したイエシロアリ営巣    飼育を始めて5年が経過した, 営巣9年程度と推定されるイエシロアリ営巣を用いた。7)試験方法(写真8, 9)  ① 職蟻が集まっている飼育営巣の餌場(コンクリート板)上に, レンガを3個置き, その上に,ホウ酸製剤で処理した試験木材, ピレスロイド系で処理した試験木材, 無処理の木材を設置した。  ② 設置した木材それぞれに, AEセンサーを取り付けた。  ③ 24時間ごとに設置木材のAE計測を行った。  ④ 35日目に設置木材を取り出し, 加害状況を観察した。8)試験結果   試験開始24時間後, AE計測を行った。ホウ酸塩処理材と無処理材のAE発生数は11と17で, イエシロアリがホウ酸塩処理材と無処理材を加害していることを確認した。ピレスロイド処理材のAE発生数は0で, ピレスロイド系薬剤処理面がイエシロアリの加害を阻止していることを確認した。   10日目, ホウ酸塩処理材のAE発生数が無処理材より急増し, イエシロアリが無処理材よりホウ酸塩処理材を好み加害していることを確認した。ピレスロイド処理材はAE発生が無く, 加害は阻止されていた。   17日目, ホウ酸塩処理材は蟻土で殆ど覆われた。無処理材は半分が蟻土で覆われた。ピレスロイド処理材は蟻道が僅か構築されただけであった(写真10-13)。   19日目, ホウ酸塩処理材と無処理材のAE発生数が逆転し, 無処理材のAE発生数が多くなった。ホウ酸処理材から無処理材へ加害が移行したことを確認した。   25日目から31日目にかけ, ピレスロイド処理材に3から10のAEが発生した。イエシロアリがピレスロイド処理材の加害を試みるが, 処理薬剤により阻まれている状態が確認された。   27日目, 無処理材も蟻土で殆ど覆われた。ピレスロイド処理材は蟻道が僅か構築されただけであった(写真14)。   32日目, ピレスロイド処理材のAE発生数が36に増加した。イエシロアリがピレスロイド系薬剤層を突破し, 処理材の加害を始めた事を確認した。   34日目, 設置木材を取り出し, 蟻土を除去し, 各木材の加害状況を確認した。ホウ酸塩処理材は著しく加害されており, 無処理材より加害が多かった。ピレスロイド処理材は極僅かだけ加害されていた(写真15-19)。   試験木材の食害率を表3に, 34日間のAE発生数を表4に示す。