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概要

しろありNo.164

16 Termite Journal 2015.7 No.1643.2 劣化部位について 調査文化財104件における劣化内容と劣化程度を図4, 床下, 床上, 小屋裏, 外部, 不明における場所毎の各劣化部位数とその内容について図5に示す。図4によると, シロアリ, 木材腐朽, 木材食害害虫の順に劣化件数が多いことがわかる。これは図5に示すように床下を中心とした蟻害や腐朽の多さと, 部材数自体の多さが反映されている。一方, 板・建具等を中心とした床上以上の範囲では, 木材食害害虫による被害が蟻害や腐朽と同程度見られ, 床下でも腐朽と虫害のように他の劣化とセットで報告されている例が数多く見られた。報告された蟻害や腐朽の多くは現在進行形ではなく, 過去の劣化がほとんどであるが, 劣化を受けた部材がそのままになっていることからも, 床下の改修及び点検が周期的に行われていないものと推察された。図4 劣化の内容と劣化程度 次に劣化が報告された部位の方位を表6に示す。社寺は参拝のために南側が開いていることが多く, 南側に昇段するための階段があるとその床下部分の通気が悪くなることが考えられる。この点は比較的北側が劣化を受けやすいとされる住宅との相違点といえる。また, 床下中央部分の劣化も多いことから, 床下空間における通気が必ずしも良好でないと推察された。 中央と不明を除く8方位における全体, 床下, 床上,小屋裏別の劣化部位数を図6から図12に示す。床下ではどの部材も東西南北方向での劣化が多いが, 床上では柱の北・東方向, 小屋裏では軒・板等の南・西方向での劣化が多く見られる。これは, 社寺では北と東には開口部が少なく換気が行われにくいからであると考0 200 400 600 800シロアリ木材腐朽木材食害害虫カビ、汚染その他不明劣化部位数重要(D) 要改善(C) 経過観察(B) 不明図5 劣化部位数と劣化内容の内訳表6 方位別劣化部位数方位劣化部位数方位劣化部位数北285 南西176北東147 西275東270 北西158南東181 中央266南248 方位不明174― ― 合計2180えられる。西側は西日により木材が蒸れやすくなるため, 雨漏りがあった場合に腐朽しやすくなることが反映されているものといえる。0 100 200 300 400 500土台床束大引根太板・部材等床下・その他柱梁板・建具等床上・その他垂木棟木・母屋・束梁・桁軒・板等小屋裏・その他外部不明劣化部位数シロアリ 木材腐朽木材食害害虫 カビ、汚染その他 不明