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概要

しろありNo.164

28 Termite Journal 2015.7 No.164図21  信号付加装置の加振面の振動加速度レベル(La,VS)と摂食量(Fsum_avg)との関係 T5の場合に, Side-LおよびSide-Rの振動加速度レベルLa,L, La,Rを測定した結果を図20(b)に, T6の場合の同様の測定結果を図20(c)に示す。概ね狙い通りの周波数特性が得られた。ただし, T5, T6においても0.63?1.25kHz帯域でLa,RがLa,Lを上回ることが確認された。さらに, 木材へ付加した振動・音響信号として, 図14に示す信号付加装置の加振面(図14(b))の振動加速度レベル(La,VS)をT1?T6全てで測定した。 T5, T6について, 前章と同様の検討を行ったところ, T5ではFL_avgとFR_avgの間に有意差が認められ, L材に比べR材の摂食活性が低下した。一方, T6では有為差が認められなかった。木材へ付加した振動・音響信号の周波数特性とイエシロアリの摂食量との関係については, 今後さらなる検討が必要である。 続いて, 木材へ付加した振動・音響信号の量とイエシロアリの摂食量との関係として, La,VSとFsum_avgとの関係を図21に示す。両者の間には, 相関係数?0.86と,強い負の相関が認められた。6. まとめ 以上, 日本における代表的な木材害虫であるイエシロアリの摂食活動と振動・音響信号に関する基礎的検討を行った。その結果, 木材への振動・音響信号の付加により, イエシロアリの摂食活性が低下する可能性を示した。今後は信号を付加する手法も含めた実験環境の検討と普遍性の確認を行うとともに, シロアリの摂食活性が低下する条件についてさらなる研究を行う予定である。7.謝辞 本研究を実施するにあたり, 貴重なご意見と供試シロアリを提供頂いた京都大学生存圏研究所の吉村剛教授に深く感謝致します。本研究の一部は, 京都大学生存圏研究所全国共同利用研究によるもので, 科学研究費補助金( 挑戦的萌芽研究 No.20420648およびNo.24651081)の助成を頂いた。また, 本研究の実験の実施にあたり, 大分大学大学院生の深田, 原, 加津山の各君にご協力頂いた。記して謝意を表します。Vibration accelerationlevels [dB]Side-L Side-RVibration accelerationlevels [dB]20 dBSide-L Side-RVibration accelerationlevels [dB]20 dBSide-L Side-R図20  Side-LとSide-Rにおける振動加速度レベル(La,L, La,R)の周波数特性,(a)T4,( b)T5,( c)T6