しろありNo.165
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8Termite Journal 2016.1 No.165その他の無機系ホウ素化合物 8ホウ酸ナトリウム(sodium octaborate), 4ホウ酸ナトリウム(sodium tetraborate), 5ホウ酸ナトリウム(sodium pentaborate,)およびホウ酸を含む製剤が米国木材保存協会規格AWPA P5-10およびP25-10に掲載され, 継続的に水や土壌と接することのない場所で使用される材料への注入処理用として規格化されている7)。これらの製剤では, 処理時のpHは7.9~9.0に, 温度は20~30℃に保つことが決められている7)。2.2 有機系ホウ素化合物 ホウ酸やその他の単純な無機系ホウ素化合物をベースにした多くの有機系ホウ素化合物が合成され製剤化されているが, 一般にその処理システムは高価なものである。表1に, 実際に使用されている有機系ホウ素化合物(製剤)と処理方法を示す8)。3.シロアリ用としての製剤型と必要とされる処理レベル3.1 製剤型 シロアリ用のホウ素系化合物は粉状あるいは液体として製剤化される。多くのものは水に溶かして木材や木質材料の表面処理に使用される。一方, 製材品に対する加圧注入用としても水溶性製剤が使用される。さらに, 表2に示すようにその他のいくつかの製剤型が現場処理用として製剤化されている6)。木質系部材の接合部に対する, 穿孔・ロッド製剤挿入処理は現場処理法として重要な位置を占めている。同様な目的, かつ対象部位へのより迅速な薬剤の拡散を求めて, 液状製剤の穿孔注入処理も行われる9)。ホウ砂(sodium tetraborate decahydrate)- Na2B4O7•10H2O ホウ砂は無色の結晶であり, ホウ酸と同様の生物活性を示す。DOT(disodium octaborate tetrahydrate)- Na2B8O13•4H2O DOTの毒性や生物活性は基本的にホウ酸, ホウ砂と同じであるが, 水への溶解性が高いことから, 製材品や木質材料の浸漬・注入処理用として世界的に広く用いられている。北米において, シロアリ用として以下のような多くの製品が販売されている。TIM-BOR, BORA-CARE, SOLUBAR, NIBOR-D, HI-BOR, SILL-BOR WOOD, POLYBOR, OARD DEFENSE, BORA-SOL, TIMBERSAVER40, ARMOR-GUARD, BOR-RAM, BORATHOR, SHELL-GUARDなど5,6) 。ホウ酸亜鉛(Zinc borate)-2ZnO3B2O3•3.5H2Oおよびホウ酸カルシウム(calcium borate)-Ca2B6O11•5H2O ホウ酸亜鉛とホウ酸カルシウムは木材腐朽菌類とシロアリに対して効力を有し, 水に溶けにくいことから多くの場合木質系複合材料に対して用いられる。ホウ酸亜鉛は米国木材保存協会規格 AWPA P18とP51-10に非注入性木材保存剤として規格化されており, 木質複合材料への使用が推奨されている。しかしながら, ホウ酸亜鉛で処理された材料を屋外で土壌と接触した状態で使用することは好ましくなく, その場合は防水処理と併用しなければならない7)。表1 有機系ホウ素化合物と処理方法8)化合物・製剤名処理方法3メチルホウ酸(trimethyl borate, TMB)蒸気処理3エチルホウ酸(triethyl borate)蒸気処理Borester 7 蒸気処理Boracol ペースト処理、バンデージ処理、固形処理Triethylene glycol/borateペースト処理、バンデージ処理、固形処理表2 水溶性製剤以外のホウ素化合物の製剤型と製剤名製剤型製剤名ゲル化製剤Jecta Gel、Boracolなどペースト製剤Cu-BOR、Cu-RAP20、MP400-EXTなど固形製剤(ロッド)Impelrod、Flurod、Cobrarodなど

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