しろありNo.165
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12Termite Journal 2016.1 No.165かを調べることにある。処理材と無処理材を設置した2次元アリーナを用い, 室内と野外にてシロアリの採餌活動を観察した。採餌シロアリの蟻道内での死亡箇所を確認する方法を確立し, 処理材の有無と蟻道及び生存虫の分布の関係を検討した。3.材料と方法3.1 室内試験 アクリル樹脂製の2次元採餌アリーナ6個に, 野外コロニーから24時間以内に採集されたシロアリ1,500頭(職蟻90%, 兵蟻10%)を放虫し12), 室内に静置した。アリーナはCampora and Grace13)の方法にて, 湿らせた珪砂をアクリル樹脂板(75×75×0.25cm)で挟んで作成した。シロアリはアリーナの中央に接続した瓶に放虫し, 採餌場所へ到達できるようにした。16ヶ所の採餌場所(アリーナに開けた穴にプラスチック瓶を接続し, 各々に木片を設置)は, 格子状に均等に配置した(図1)。処理区とした3反復では, 採餌場所の片側半分(8ヶ所)のに規定濃度のDOT(1.77%BAE)を加圧注入処理(US Borax社にて作製)したベイマツ(Pseudotsuga menziesii [Mirb.] Franco)片を設置し, 残り半分(8ヶ所)には無処理ベイマツ片を設置した(図2)。他3反復は無処理区とし, 全ての採餌場所に無処理木片を設置した。シロアリを中央の瓶に放虫, 14日間穿孔させた後, 新しい木片に交換した。その際, 処理区の処理木片と無処理木片の位置を入れ替えた(図2)。シロアリをさらに7日間穿孔させた後, アリーナを分解, 生存虫をカウントし, 木片は乾燥(90℃, 24時間)し重量測定した。 室内試験については, トンネルの分布, 生存虫の分布, 死亡虫の分布, 木片上の採餌虫の有無, 及び摂食量を調べた。トンネルの分布は24時間毎にデジタル撮影し, ArcView 3.2 GIS software (ESRI社製)を用いてアリーナの東サイドと西サイドのトンネルの表面積を測定した。採餌虫の分布は, 5×5cm区画に分割して観察した。観察は毎日午後3時~5時に実施した。各区画内の職蟻及び兵蟻数をカウントし, 6段階(0 = 0, 1= 1, 2 = 2~12, 3 = 13~24, 4 = 25~50, 5 = 51以上)で示した。さらに同5×5cm区画を用いて死亡虫数を毎日カウントし, 両サイドの総死亡虫数を比較した。木片上の虫数は木片毎に毎日観察し, シロアリにより木片が覆われた量をおおよそ10%単位で記録し, 各サイド全体の推定被覆量を算出した。全ての木片は試験前に重量計測し, 試験後の木片重量と比較して摂食量を算出した。図1 野外試験(A)と室内試験(B)で用いた  シロアリ採餌アリーナ図2 処理木片と無処理木片の位置及び交換スケジュール;  室内試験・処理(A)、室内試験・無処理(B)、野外試験(C)

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