しろありNo.165
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27Termite Journal 2016.1 No.165ノズルチューブ内の静圧でどの程度, ムースが流動するか確認試験を行った。1)試験方法・実験には, 内径20mmと5mmの2種類のシリコンチューブを用い, ムースの流動距離を測定した。・シリコンチューブの片端は, キャップ, 木栓で封止した。・キャップ, 木栓には1~1.5mmの穴を設けた。・ムースエアゾールを数回プッシュし, ピペットノズルチューブにムースを注入した。・シリコンチューブの片側封止部の穴に, ピペットノズルを差し, ピペットノズルコックをゆっくり開き, シリコンチューブ内にムースを注入した。・ピペットノズルコックは, ムースが流れなくなるまで開放した。・シリコンチューブ内をムースが流動し, 到達した最大流動距離を測定した。ムースの流動距離試験結果を表2に示す。表2 ムースの流動距離試験結果試験チューブムース最大移動距離ムース充填容積内径5mm2m39cc内径15mm32cm56cc 内径5mmのシリコンチューブでは, 2mまでムースが流動した。内径15mmのシリコンチューブでは, 32cmまでムースが流動した。この試験結果から, ムースはピペットノズルチューブの静圧だけで, 被害部を十分流動し, 被害部末端まで到達することを確認した(写真19, 20)。にピペットノズルチューブを接続し使用した。 当初はムースエアゾールを常時開とし, ピペットノズルのコックで操作した。この場合, ピペットノズルのチューブに常時圧力が作用するため, ムースエアゾール側接続部チューブが裂けるトラブルが発生した。また, 糞出し孔にピペットを差込み, コックを操作すると圧力が高く, ムースの噴出し, 飛散が多く発生した。ピペットノズルの使いこなしに悪戦苦闘する中, 初期の駆除工事に従事した, 揚村伸一郎, 永江正治, 前迫淳志の三氏により, ピペットノズルチューブの静圧を利用する方法が考案され, 使い易くなった。次項にその使い方を記す。5.2 ムースエアゾール組合せ使用方法 ムースエアゾールとピペットノズルを接続し, ピペットノズルチューブの静圧を利用する方法を紹介する。組合せ使用方法1)ムースエアゾールとピペットノズルをチューブで接続する。2)ムースエアゾールを充分に振り, エアゾール内の薬剤を撹拌する。3)ピペットノズルを閉じた状態で, ムースエアゾールを数回プッシュし, チューブ内にムースを注入する。チューブ内に静圧が発生する。4)糞出し孔に, ピペットノズルを差し, ピペットノズルのコックを少し開き, ムースをノズルからゆっくり流す。5)チューブ内ムースの流出停止を確認し, ピペットノズルコックを閉じ, ムースエアゾールを数回プッシュし, チューブ内にムースを補充する。6)ピペットノズルコックを再度少し開き, ムースをノズルからゆっくり流す。ムースの噴き出し, 被害部からのムース流出を確認し, ピペットノズルコックを閉じ, ムース注入を停止する。7)糞出し孔への注入を完了後, 被害部ムース流出部にピペットノズルを差し, ムースを注入する。8)ムースにより木材表面が滲む場所(薄皮部分)は, 千枚通しなどで小さな穴を開け, ノズルを差込み, ムースを注入する。9)これらの作業を丁寧に繰り返し, 被害部にムースを確実に注入する。5.3 ムースの流動性確認 ピペットノズルでムースを注入すると, ムースがスムーズに流動し, 注入箇所から1m先の糞出し孔又は被害部から, ムースが流出することがある。ピペット写真19 チューブ(内径5mm)にムース注入

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