しろありNo.166
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21Termite Journal 2016.7 No.166212.6 被害の見つけ方1)神社, 仏閣回り その地域に被害があるかどうかを探すには, 神社, 仏閣を回り, そこに植えられているスギの大木を見ることである。ほぼ例外なく, 大きな枝が落ちて, 庭の隅に積んである。その枝の二次枝の部分から切ると, トビクサレの有無が分かる。2)人工林 一番楽なのは林内に落ちている直径1〜2cm程度の枯枝を探し, 脱出孔を見て回る。除間伐木があれば, その切り口を見たり, 枯枝を付け根から切ると被害の有無は検討がつく。ただし, 枯枝を付け根から切った場合, 切り口に表れた幼虫孔道がいくつもあったり, それが重なり合って大きく見えるものはトゲヒゲトラカミキリの食害痕である(図9, 10)。林縁木だと太い生枝があるので, その枝の二次枝の出ている部分を切ると変色していれば, トビクサレである(図8)。生立木では枯枝の付け根の脱出孔を探すか, ヒノキの場合, 枯枝の付け根では幼虫が樹皮表面に近いところまで食害するので, 付け根付近からヤニが出ていることが多く, それを目当てに探し, その付近の枯枝を付け根から切って切り口をみる。ヒバの場合, 下枝がほとんど無く, 梢頭部を食害していることが多いので, 伐採木があれば, その梢頭部の枯れた部分を切って探す。3)成虫の探索 時期が初夏であれば, 成虫を探す。成虫は前述のように訪花性があるので, 必ず林縁にあるコゴメウツギ, ガマズミ, イワガラミなどの花を探す(図11, 12)。直射日光の強い時間帯は虫のいないことが多い21)。また, 図11 スギ林縁部に咲く花にはよく集まる図12 林縁部にあるイワガラミの花にもよく集まる図9 トゲヒゲトラカミキリ図10 スギノアカネトラカミキリとトゲヒゲトラカミキリの幼虫孔道の違いスギノアカネトラカミキリトゲヒゲトラカミキリ

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