しろありNo.166
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28Termite Journal 2016.7 No.16628さらに入札者が準備できる予防的な助言の有無を知っておくことが望まれる。これらの骨の折れる複雑な仕事を確実に行うと, 入札書類は十分吟味されたものになるだろう。・地下シロアリ防除用土壌処理剤のタイでの野外試験結果 (Field trials in Thailand on the efficacy of some soil termiticides to prevent subterranean termites)Napalai Samerjai (Royal Forest Department, Thailand) 建造物の下に生息しているシロアリに対する侵入防止効果を評価する目的で, タイで上市されている土壌処理剤の試験を行った。一般的な建築工法を想定して, コンクリートスラブ下に処理する代表的な試験法である改良グランドボード試験(MGB)を実施した。気候や土地差を比較する目的から, 国内の5ヶ所で試験地を設定した。第1試験地は東北部, 第2試験地は西部, 第3試験地は東部, 第4と第5試験地は南部に位置する。ピレスロイド系剤(α-シペルメトリン, シペルメトリン, ペルメトリン, ビフェントリン, フェンバレレート)を主要グループとして評価した。有機リン系剤(クロルピリフォス)とカーバメート系剤(フェノブカルブ), さらに, 4種の新規剤(フィプロニル, イミダクロプリド, クロルフェナピル, クロラントラニリプロール)も評価した。観察は年1回実施した。ピレスロイド系剤のビフェントリン3 ECは8年以上, α-シペルメトリン4 SC及び8 SC, シペルメトリン 10 MCは9年, ペルメトリン30 ECは5年, フェンバレレート10 ECは4年の防蟻効力であった。有機リン系剤のクロルピリフォス40 ECは7年, カーバメート系のフェノブカルブは5年の防蟻効力を示した。フィプロニル2.5 EC, 5 SC, 5 SL, 80 WDGは7年以上, イミダクロプリド5 SL, 10 SL, 17.8 SLも7年以上, クロルフェナピル2 SCは5〜7年, クロラントラニリプロール17.8 SCは8年以上の効果であった。・ベトナムにおけるCoptotermesの防除ツールとしての初めてのベイト評価 (First evaluation of baits as a preventative tool to control Coptotermes termites in Vietnam)Nguyen H. Yen (Institute of Ecology and Works protections (WIP), Vietnam) 地下シロアリの防除ツールとしてベイトの効果を調べるため, 既築物件で試験を実施した。都市部においてCoptotermesの被害を受けている3軒の家屋にベイトを設置した。各家屋は一般的な3種の建築様式で, 1年以上経時的な観察を行った。その結果, シロアリのコロニーは18〜24週後には徐々に活性が低下した。ベイトステーションは, 再侵入を監視するためにそのまま維持しモニタリングを継続した。今回得られた知見は, ベトナムで地下シロアリの被害が進行中である建造物を防護できることを示した最初のものである。・フィリピン港における船舶等を加害している地下シロアリの駆除事例 (Eliminating subterranean termite infestation in ships and yachts across Philippine ports)Partho Dhang (Philippines) ボート, ヨット等の様々な船舶で光に誘引された地下シロアリによる被害が, ここ数年で起こっている。調査, 採集, 同定の結果, Coptotermes gestroiとMicrocerotermes losbañosensisであることが判った。レクイエム(Requiem termite bait)にて駆除を行った結果, 1度の投与にてコロニーを消滅することができた。・西カリマンタンのアブラヤシ農園におけるヘキサフルムロン・ベイトのCoptotermes curvignathusへの効果試験 (Field evaluation of hexaumuron bait for colony elimination of the subterranean termite Coptotermes curvignathus Holmgren in oil palm plantation in West Kalimantan Indonesia)Farah Diba (Tanjungpura University, Indonesia) インドネシアのアブラヤシ農園は増加し規模も拡大し続けている。西カリマンタンでは, 大部分のアブラヤシ農園は主として泥炭地にある。これは地下シロアリの加害を受けやすい状況である。Coptotermes curvignathusはアブラヤシの主要害虫とされている。このシロアリはアブラヤシの幹, 樹冠, 葉, 実を加害する。アブラヤシでは農薬の表面散布が防除方法であるが, 経済的ではなく, かつ環境へ影響を及ぼす懸念がある。さらに, シロアリの巣は地下にあり表面散布では巣内のシロアリへの影響が期待できないので, 効果的ではない。そこで, ベイトのような新しい方法が農園では必要とされている。ヘキサフルムロンを有効成分とするベイトのC. curvignathusに対する効果をアブラヤシ農園で評価した。激しいシロアリ被害を受けているアブラヤシ農園の3区画を試験場所として設定

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