しろありNo.166
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30Termite Journal 2016.7 No.16630・マレーシア・ペナン島のMacrotermes carbonariusコロニーにおける内部寄生バエVertica fasciventrisの寄生率調査 (A survey of the prevalence of endoparasitism by Vertica fasciventris Malloch (Diptera: Calliphoridae) in colonies of Macrotermes carbonarius (Hagen) (Blattodea: Termitidae) in Penang Island, Malaysia)Thi-Mai-Duyen To(Universiti Sains Malaysia, Malaysia) マレーシア・ペナン島のMacrotermes carbonariusコロニーにおける内部寄生バエVertica fasciventrisの寄生率について, 2015年の4月〜12月に調査を行った。調査した313コロニーの33.5%に当たる105コロニーがV. fastrivencisの寄生を受けていた。Balik Pulau(62.0%)とYouth公園-植物園(61.8%)における寄生率が高かった。一方, Air ItamとJelutomgでは, それそれ28個と22個の調査したコロニーすべてにおいて寄生が観察されなかった。寄生を受けているすべてのコロニーは健全な状態にあると判定され, その塚は非寄生コロニーのものと比較して有意に高く, また面積も広かった。Session 4: Wood durability and preservationセッション4:木材の耐シロアリ性と保存処理・シペルメトリンとペルメトリンで浸漬処理したengkabang, kelempayanおよびゴムノキを用いたハザードクラスH2に対応した野外試験 (H2 hazard class eld test of planted Malaysian hardwoods engkabang, kelempayan and rubberwood dip-treated with dierent concentrations of cypermethrin and permethrin against Coptotermes curvignathus)Carlson A.D. Tawi(Universiti Malaysia Sarawak, Malaysia) マレーシア産早生広葉樹に浸漬処理を行い, Coptotermes curvignathusを対象としたハザードクラスH2に対応した非接地野外試験を実施した。薬剤としてはシペルメトリンとペルメトリンを用い, engkabang (Shorea macrophylla), kelempayan (Neolamarckia cadamba)およびゴムノキ (Hevea brasiliensis)に対して60秒の浸漬処理を行った。この試験体を日光と雨を遮った状態のハザードクラスH2に対応した6ヶ月間の野外試験に供した。無処理のengkabang, kelempayanおよびゴムノキのAWPAの平均スコアは, それぞれ3.7(質量減少率57.0%), 7.5(質量減少率31.1%)および0(質量減少率100%)となった。シペルメトリン処理の場合, ゴムノキ-0.00275%溶液処理でスコア7.0, kelempayan-0.00275% と0.0055%溶液処理でスコア7.3, engkabang-0.001375%と0.0055%溶液処理でスコア9.2となり, 樹種毎に処理濃度による有意な差が認められた。ペルメトリン処理においては, 最高濃度である0.0053%溶液処理においてもゴムノキに十分な耐シロアリ性を付与することはできず(質量減少率85%以上), 他の2樹種においてもシペルメトリンの場合よりも低いスコアとなった。結論として, 両ピレスロイド化合物とも, スプレー処理として推奨されている濃度ではゴムノキに対して十分な耐シロアリ性(対象はC. curvignathus)を付与することはできなかったが, engkabangとkelempayanにおいては推奨濃度より低い場合でも中程度の耐シロアリ性を付与できた。--------------------------------------------------------------------------------------------訳注:AWPAの野外試験におけるスコアは以下の通りである。10:健全, 9.5:ごく僅かな劣化, 9:軽度な劣化(断面の<3%), 8:中程度の劣化(断面の3−10%)7:中程度の劣化(断面の10−30%), 6重度の劣化(断面の30−50%), 4:重度の劣化(断面の50−75%), 0:試験継続が不可能なほどの劣化・フィリピン産植物由来粗抽出物の対シロアリ活性 (Ecacy of crude extracts from indigenous plant species against Philippine termites)C. M. Garcia(Forest Products Research and Development Institute, Philippines) 4種類のフィリピン産植物由来粗抽出物, tubangbakod(Jatropha curcas), Bayati (Anamirta cocculus), cashew nut shell(Anacardium occidentale)およびriver red gum(Eucalyptus camaldulensis), のフィリピン産3種シロアリ(Los Baños termites(Microcerotermes losbañosensis), Philippine milk termites(Coptotermes gestroi) および乾材シロアリ(Cryptotermes dudleyi))に対する活性を, 局所施用法によって評価した。粗抽出物の収量は4種類の植物によって差があり, シロアリに対する活性は, 対象シロアリ種, 濃度および植物種によって異なった。tubangbakod, cashewnut shellおよびriver red gumの粗抽出物はCry. dudleyiに対して高い活性を示したが, C. gestroiに対して同様の効力を示したのはtubangbakod粗抽出物のみであった。Bayati粗抽出物のシロアリに対する活性は低かった。粗抽出物より調製した製剤はシロアリ防除剤としての可能性を示していた。

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