しろありNo.166
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43Termite Journal 2016.7 No.166435. まとめ 本報では, 生物劣化を受けた接合部における強度性能評価や, 生物劣化を診断する機器による評価との関係の蓄積を図ることを目的として, シロアリの食害を受けた接合部の引張試験を実施した。 各診断機器の測定値と引張試験の実験値の関係において, 柱における超音波伝播速度と初期剛性, 乾燥後密度と初期剛性の関係で, WPにおいてどちらも相関係数が0.6以上と, 高い相関がみられた。しかし, 他ではこのような傾向はみられなかった。また, 土台における超音波伝播速度と最大耐力, 打込み深さと最大耐力の関係でも, 高い相関を得ることはできなかった。以上のことから, VP金物を用いた接合部では超音波伝播速度の測定により残存強度の推定できる可能性があり, 込み栓接合では接合部における食害の進行が大きな要因であることがわかった。 本報告は, 謝辞に記載した当時の研究1)について再度資料を見て考察をおこなったものである。図11 土台における乾燥後密度と初期剛性の関係0246810121416200250300350400450乾燥後密度(kg/m3)初期剛性(kN/mm)WKWPSK6. 謝辞 本研究は, 平成21-23年科学研究費補助金(若手研究(A)21686053:代表者:森 拓郎)により実施し, 京都大学生存圏研究所全国共同利用研究・DOL/LSFの補助を受けました。本研究を行うにあたり, 様々な助言・助力をいただきました藤井義久教授(京都大学), 田中圭准教授(大分大学), 簗瀬佳之助教(京都大学), 福留重人氏(鹿児島県工業技術センター), 京都大学生存圏研究所小松研究室(当時), 大分大学工学部井上研究室(当時)の学生諸氏に, この場を借りて御礼申し上げます。引用文献1)温水章吾、河野孝太郎、田中 圭、森 拓郎、簗瀬佳之:シロアリ食害を受けた柱-土台接合部の性能評価、木質構造研究会第15回技術発表会報告集、pp.89-92、2011.

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