しろありNo.167
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13Termite Journal 2017.1 No.16713*:p<0.05(Wilcoxonの順位和検定(U検定))図2 「龍谷の森」試験地における炭素の分析結果2)無機元素分析 無機元素分析においても, 有機元素分析と同じく, 土壌試料, 蟻土試料, フラス試料, 餌木試料の4種類のサンプルを用いた。測定対象元素は, ナトリウム(Na), カリウム(K), リン(P), カルシウム(Ca), 鉄(Fe), マグネシウム(Mg), マンガン(Mn), 銅(Cu), 亜鉛(Zn), ホウ素(B)の計10元素とした。これらの試料に対して, 前処理として硫酸, 硝酸を用いた湿式分解を行った後, 吸引ろ過, メスフラスコを用いた濃度調整を行い, 得られたサンプルをICP発光分析装置(パーキンエルマー Optima-5300-DV)を用いて分析した。なお, 本無機元素分析において測定したリンは, サンプル内の有機物を強酸である硫酸と硝酸を用いて分解しているため, 全リンとする。3.結果と考察3.1 有機元素 窒素については, 餌木よりフラスの濃度が高かった(図1)。その一方, 炭素については, 餌木で最も濃度が高く, 餌木→フラス→蟻土→土壌の順に濃度の減少傾向が見られた(図2)。ここで注目すべき点は, 窒素については, 餌木よりフラスの濃度が高かったが, 炭素については, 逆に餌木よりもフラスの濃度が低かった点である。 木質資源を消化する際に問題となるのが, 木質資源における炭素と窒素のバランスである。例えば, 木材中の炭素と窒素の含有比は, 200〜1200:1であるのに対して, それらを分解するために作られる消化酵素(タンパク質)に含まれる炭素と窒素の含有比は, 約3:1である。シロアリにとってたくさん木材を食べるということは, その分たくさん消化酵素を使用して

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